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第73話 ルグアとウェンドラ

 ◇◇◇ルグア目線◇◇◇


「あんな別れ方でいいのですか?」

「ああ……。まあ、そう簡単には死なねぇけどさ……。ウェンドラ」

「あら、お気づきのようで……」


 私の思考の中。通信魔法ここで行う。ウェンドラは、彼女だけは自由に干渉できる。〝死〟の連鎖。死のうと思えばいつでも死ねる。

 でも、アレンが心配で仕方がない。彼といる時の楽しさが、忘れられない。未練でもできてしまったのだろうか?


「相当気にかけているのですね……。ルグア」

「まあな。あいつも、不安でいっぱいみたいだしな」

「あいつとは……」

「フォルテのことだ。アレンの属性強化を見た瞬間、力を貸したいと思ったらしい。弟子のチェリスも同じだとよ」


 私とフォルテは二人で一人。片方が生きたいと思えば、それに従う。裏切りはしない。裏切りたくもない。

 嘘もつかない。多少混ぜるのはいいが、勘違いされないためには真実を語る。


 ――とうちゃーく‼ ここにフィレンからもらった猛毒ボトルを差し込んで~。専用チューブをぶっ刺して……。


 聞こえてくマロネの声。とてつもない痛みが全身を襲う。流れ始める毒の波。HPが削られる。意識が遠のく。

 睡眠のデバフで解毒は難しい。だから、減りゆく一途に身を任せる。そう簡単には死なない。嘘であって欲しいが、嘘ではない。

 ウェンドラのために死にたい。でも、アレンのために生き続けたい。交錯する思い。どちらも正解なのだから。


「始まってしまいましたね……。本当に大丈夫なのですか?」

「さあな……。情報量が多すぎて頭痛が……。問題ないけど……」

「そうですか……。まもなくヘッドギアのアップデートが適応されます。今回は……」

「それ以上は言わなくていい」


 楽しみはとっておく。その方が面白いし楽しい。今すぐ死ねる。でも生きたいという意思が強すぎる。

 それだけ、アレンのことを好きになってしまった。見捨てることができなくなってしまった。


「私は、いったいどうすれば……」


 死ねばウェンドラが喜ぶ。ずっとこれだけだと思ってた。これで済むと思ってた。ギルドメンバーも理解しているから、悲しまずに終わる。

 新しいメンバーを、私とガロンで連れて来たのが悪かった。アレンはこの事情を知らない。デートのアプローチまでされてしまった。


 悲しむ者はいない。それが、アレンと出会ったことで、嘘になったのだから。


「ルグア。少々考えすぎなのでは?」

「そ、そうか? そう……。かもしれないな……。私はアレンが好きだ。心から愛してると言っても、過言ではない。自分から引き剥がしたくないんだ」


 ウェンドラに心配されるのは、あまり好きではない。けれども、彼女は過去に私を知りたいと言っていた。


「なら、ワタシのために命を捨てるのではなく、アレンのために命を預けてはどうですか?」

「命を預ける……。か……。預ける方がつらすぎる……。こうしているのも、楽じゃないんだ。歳を重ねれば思考力も反応速度も低下していく。それなら、命を捨てた方が幸せだ。未練はない」


 また、嘘を言ってしまった。気持ちと、意思と言動が伴っていない。彼にとっては、私を失いたくないはずだ。

 気遣う方向を、間違っていたかもしれない。友を守る。仲間を護ることしか、考えてなかった。自分を見捨てていた。


 ――〝いや、絶対気にした方が良いって、デスゲームだよ⁉ これデスゲームなんだよ⁉ 完全に命捨ててるだろ‼〟

 ――〝軽視しすぎじゃん……。儚いのに……。自分の命を放ったらかしにして、他の命守るとか……〟


 フラッシュバックするアレンの心の声。たしかにその通りだ。軽視していた。己の命を……。


「ルグア。いえ、明理さん……。ワタシが言うのもアレですが、運命に従う必要はないのでは?」

「ん?」

「今まで憎んでいたわけですが、矛盾に気付いても、おかしくないと思いませんか?」


 矛盾……。この時だけ、私は理解することができなかった。

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