第72話 恐い? 怖い⁈
『すまなかった。さっきのは私が悪い。まあ、アンデット系統はほんの数体。怖さのレベルは小学校低学年向けだろうから、お前でも大丈夫だと思うな』
ルグアが謝りながら、説明を追加する。さっきのこととは、幽霊という発言である。
俺は、お化け屋敷や心霊スポットが苦手。そこまで勘が働かなかったらしい。本人しかわからないだろうが……。
「だだ、だいじょうぶ……すから……。や、痩せ我慢じゃないっすよ?」
「ほらほら、感情丸見えじゃない。ほんとはルグアに助けて欲しいんでしょ」
(……ギクッ⁉)
「完全に図星みたいね……。ここにあの女はいないけど、代わりにアタシが護ってあげる。フィレン。受け渡しは終わったかしら?」
「完了しているりょん‼ ルグちゃん。マロネが今戻っていったから、数分後にはお望みのことがスタートするりょん‼」
お望みの……。考えたくない。俺の彼女って、思考回路の範囲が限られた状態だよね? 魔法で毒耐性付けられる可能性も低いだろうし……。
『ま、HPを減少させつつ、寝るだけだが……。さすがに、制限されていると、疲れるしさ……。5分くらいで回復するが……』
睡眠時間の短さは、ほとんど寝てないとキッパリ言える。よく短時間で……。不眠症とか? んなわけないっすよね……。
毎回心配させるようなセリフ。第50層で彼女がどんな感じなのかは、行ってみないとわからない。
でも、俺的には死んで欲しくない。いつか一緒にゴールインして、リアルで仲良く暮らしたい。
尽きぬ夢と理想が、恐怖のどん底から引っ張り出してくれる。恐いものは怖い。しかし、仲間がいれば怖くない。
赤信号みんなで渡れば怖くない。って言うし……。
『おいおい、お前人殺す気か‼ 絶対やるなよ? 渡る時は、ちゃんと青信号を……』
「冗談ですって。ルグアのお見通しが裏目に出ているっすよ‼」
『アハハ……。こりゃ、一本取られたな』
「けど、全部悟ってしまうのは、違う意味で怖いっすね……」
これに関しては、彼女と話をするたびに、思い知らされる。未来を読んでいるような、みんなの思考を覗き見しているような。
『そろそろ切るか。応援して待ってっから、頑張れよ‼』
「わかりやした‼ ルグアも無理しないでください‼」
『もちろんだ。んじゃ切るぞ‼』
そのような会話を最後に、プツリと終わり、声が聞こえなくなった。
フィレンが言った通り、マロネの姿は消えていて、今いるメンバーは七人。しばらくは、チェリスを頼りにするしかない。
目指す場所は第十五層ボス。戦うのが楽しみになっていた。




