第68話 通信魔法を通して
「そういえば、どうしてまた?」
ルグアから発信されている通信魔法に、俺は戸惑う。なぜなら、理由も無しに繋げたりしないからだ。
『ああ……。そのことなんだが、久しぶりに、チェリスと話したくなってな』
「えっ⁈ チェリスさんとルグアって、知り合いだったんすか?」
「正確には、水泳教室のライバル同士。ほんと、ルグアは泳ぐの速いんだから」
そんなにすごいんだ。世界大会に出たりしたのかな? 知りたい。ルグアの武勇伝を聴きたい。
俺の彼女が的確な指示を出し、第八層、第九層と移動。彼女のことを知る絶好の機会に、胸が高鳴る。
「そうね……。ルグアって、泳ぎに定評がありすぎということかしら? 潜水したと思えば、息継ぎ無しで25メートルプールを3往復。タイムは……」
『確か、10分か15分だったと思う。臨時ライフセーバーになったことも、あった気がしたな……』
ライフセーバーって、海の? それとも大衆プール? 気になることがたくさんあって、口にしようもまとまらない。
代わりに、ルグアが勘で読み取るので、別に言わなくても、しっかり答えが返ってくる。遠距離通信なのに……。
『両方かな? 海の方は、専属ライフセーバーの1人が熱中症で倒れて、一般参加で臨時メンバーに。大衆プールは、ライフセーバーというより、自主的に人助けしていた』
やっぱり、自分より他人優先なんだ。優しすぎる。ずっと頼りにしていたい‼
それより、ここ何層? 会話に夢中で、わからなくなってるんだけど。俺は、声を出していないが……。
『ま、私が悟って、答えているだけだもんな。よーし、もう少しで十五層に着くぞ‼』
えっ⁉ もう十五層⁈ やっぱルグアの勘はスゴすぎる。階層のフロアを把握して、俺達の話に応えてくれて。
彼女は同時にいくつ考えてるんだろう? 脳内容量デカいのはわかるけど……。
『同時に……。か。今は、ちょっとわかんねぇな……。情報の整理が追いついてないからさ……』
「わかんないって、大雑把でもいいっすから」
『……。一言で表すなら。万を超えているかもしれない。加えてゲーム内では、昏睡状態。残った一部の意識だけで、通信魔法を使ってる』
昏睡状態なんかよ……。普通なら会話できないんじゃね? 違和感が無さすぎなんだけど⁈
『言っとくが……。本調子じゃねぇからな? 脳の大部分が完全にブロックされて、使えないからさ』
マジっすか……。ご愁傷様です……。
「ご愁傷様って、親戚でも亡くなったの? ちゃんと言葉も考えなさい」
「ご愁傷様じゃなくて、お疲れ様です。団長。何かご注文はありますか?」
それより、〈レイベル酒〉を5000瓶も注文したの誰? なんのための5000? 誰が飲むの?
『それがさ……。私と共有しているフォルテが、無性に飲みたいと言いだしたんだよ……。5000はさすがに多すぎるよな……』
もちろん、二人で同じ身体を共有していることから、飲みすぎ注意とフォルテを止めたが、折れることなく、注文に至ったらしい。
「ってか、フォルテはどんだけ〈レイベル酒〉が好きなんだよ⁉ 俺も飲みたいけど、遠慮します……」
【定期】
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