第67話 獲得したのは……
――アレンが、特殊条件をコンプリートしました。ユニークスキル【レベルダウン】を付与します。
「れ、レベルダウン⁈ 急激に上がったと思えば、今度は下がるんかよ⁉」
「なるほどねぇ~。もしかしたら、当たり引いたかもよ。あんたのことが羨ましいわ」
そうかな? レベルダウン……。レベルが下がる。ん? レベルアップで数値下がるってことは、ステータス変動が逆転するんじゃね?
「ちょっと、なに有頂天になってるのよ。ちゃんとスキル概要を見なさい」
「あ、はい……」
俺は、ステータス画面からスキル詳細を選択する。知らない間に増えていたスキル。通知がオフだったから、把握できてなかった。
上の方から、武器の適正スキル。防御にサブウェポン。装備の固定スキル。ユニークスキルは一番下に表示され、そこに書かれていたのは……。
〈ユニークスキル【レベルダウン】〉
〈経験値獲得量中20分の1を、所有経験値から減算。レベルダウン時ステータス上昇〉
たったのこれだけ。数値の増減も逆転している。予想は当たったが、ちゃんと補正がされていた。
「ふ~ん。よかったじゃない。それなら、ルグアを倒せるようになれるんじゃないかしら? あの子、死にたくても死ねないみたいだし……」
「ちょ、チェリス‼ 怖いことはやめて欲しいっすよ‼ それにルグアを倒すのは夢のまた夢。しかも、俺の彼女っすから。戦うのは無理‼」
「へぇー。言っちゃたね? ルグアが彼女って。そんなに好きなんだね?」
「くく、くっつかないでください、って」
詰め寄るチェリス。胸ぐらを掴むと思いきや、顔をギリギリまで近づけて、口付けしようとくちびるを尖らせる。
拒否しようと暴れる俺に、強引すぎる急接近。チェリスのイメージが、バラバラに破壊。頭の中が真っ白になる。
『おーい、チェリス。アレン。聞こえるか?』
割り込んできたルグアの声。チェリスの行動がキャンセルされて、身体が自由になった。
「ルグアあざっす‼ 助かりました。チェリス、もうくっつかないでください……」
「しょうがないわね……」
『おいおい、お前ら。何があったんだよ? まさか、接吻でもされたのか?』
接吻? なにそれ? どういう意味なの?
『キスだよ。そうか……。あんま聞かねぇもんなぁ〜』
「未遂っすけどね……」
俺とルグアの会話に、怒りの炎を燃やしているチェリス。相当嫌いなのだろう。
ルグアに近道を教わりながら、階段を上っていく。行動を共にする仲間――チェリスだけだが――は、そっぽを向いて、音もしない口笛を吹いていた。




