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第49話 異世界のお酒用、麦畑

 緑だらけの草原。なびく草木が音色を奏でる。歌っているかのように、軽快に……。

 しばらくして見えたのは、黄金に輝く麦畑。キラキラと光る穂が、とてもキレイだ。


「雷夜さん。この麦畑は、もしかして……」


 アルスが問いかける。


「そうだよ。たしか名前は……。〈レイベル酒〉だったはず……。フォルテがいた異世界から、種をもらってきたんだぁ〜」


 もらってきた? どゆこと? あと、〈レイベル酒〉って何? お酒なのはわかるけど、聞き覚えがない名前。


「種をまいたのは、ボクだよ。この畑を管理しているのも、ボク。〈レイベル酒〉っていうのは、フォルテがいつも飲んでるお酒で、アルコール度数は、1000パーセント超えてるんだよねぇ〜」


 せ、1000……。日光当たっただけで発火するじゃん。そんなお酒は飲めないよ‼ でも、フォルテは普通に飲めてるのか……。不思議だなぁ〜。


「ちなみに、今現在の最高記録は、500リットルの瓶500本だったと思う♡ 初めて知った時はびっくりしたよ」

「そりゃ、(おどろ)くに決まってんじゃん‼」


 口からもれてしまった。ありえない量の酒。火器厳禁レベルのレイベル酒。ダジャレみたいで笑えてくる。

 レベルとレイベル。なんか面白い。似た名前だから、繰り返して言いたくなってしまう。


「そうだ‼ 第十七層にある酒造工場の親方さんに、麦を納品するよう頼まれてたんだった‼ みんな、ボクのお手伝い聞いてくれるよね?」


 もちろん、手伝うよ。互いに顔を合わせて、早速作業に入った。雷夜は、人からエネミーに変更。手際よく長い尾で刈り取っていく。

 刈り取った麦は、全て背中に乗せられ、器用に尻尾で束を作る。目は顔だけで、後ろが見れないため、ノールックだ。


「俺も頑張らないと‼」


 取り出したのは、〈レヴェネス・ソード〉。属性攻撃が無いので、この剣で収穫。あっという間に、山ができあがる。

 事前に準備した糸で(たば)ねて、天日干し。〈レイベル酒〉用の麦は、これが必須らしい。

 時間が無いので、クリムが熱気で急速乾燥。仕事が早すぎて、仮想バッグに入れるのが、大変だった。


「よーし、あとは任せて♡ 種をこうやってぇ〜。えいっ‼」


 尻尾の先に種の袋を突き刺して、勢いよく振り回す。種は均等に散らばり、一瞬で種まきが終わった。


「あとは、ボクにしかできない裏技でぇ〜。ぐんぐん育ってね‼ なんちゃって、アハハ♡」


 呪文のような言い回し。畑を見ると、麦が急成長して、収穫できる状態に……。裏技スゴすぎ……。


「2周目いくよぉ〜‼」


 テンションが高い雷夜。どっさりと刈り取って、束をバッグの中へ。何回やるんだよ……。突き動かされる感覚は、楽しいようでつらかった。

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