表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

241/373

第3-19話 エルフィレンナに来た理由

「それで、アグラスさんどうするんすか? リーちゃんとリィファンに顔出しは?」

「うむ……。会うのはリィファンが立派な冒険者になってからと……」

「そうなんすね……。じゃ、じゃあ、ここに来た目的って……なんすか?」

「エルフィレンナ王に会いに来た」

「ルーアならもうルナジェインに向かったぜ‼」


 ルグアの口調がゲーム内口調に戻った。そして、フォルテの姿がない。俺がアグラスと話している間に回収したようだ。

 なら、今フォルテは何しているんだろう? やっぱり寝てるのかな? フォルテよく昼寝するみたいだし。


「けどルグア? フォルテさん。ものすごいお酒飲んでた感じしたんすけど。悪影響とかないんすか?」

「ん? ああ、意識隔離してるから問題ないよ。隔離してる間は影響出ないから。

 それにフォルテ、『しばらく控える』って言ってたからな。嘘でなければいいんだが……」


 アグラスはフォルテを探してるのか、周辺をチラチラ見て回る。そんなことしてもいないのに……。フォルテはルグアの中にいるから。

 というよりも、リゲルの場合って、どんな姿しているんだろう? っていうか、どうやって、分裂すればいいの? まずはそっちだよ‼


「はぁ……。そうやってすぐ求めるんだから……。私でも詳細はわからないよ。それに、半分はフォルテの気まぐれとワガママだしさ」

「そうなんすね……。あれ? アグラスさんは?」

「それならエルフィレンナの街を回ってる。そろそろアレンも、リィファンを探したらどうだ?」


 そうだ‼ リィファンが今現実逃避中なんだった。多分この状態だと、父親のアグラスに会った時、発作を……。

 だったら俺が先にリィファンを見つけないと‼


「ルグアさん。リィファンの居場所って特定できないっすか?」

「リィファンの居場所の特定? できなくはないが……」

「ルグア?」

「いや、なんでもない」


 最近、ルグアの表情が暗い。いつもなら即断即決で、頭冴えまくりで、もんすごい頼りになるのに……。なにかあったのかな?

 自分に縛りつけてるからなぁ。そんな彼女に場所の特定をしてもらい、俺はエルフィレンナの街へと入る。

 常に夜。街灯も薄い紫で禍々しい。だけど、俺にはもう見慣れた風景なので、そこまで驚くことではなかった。


 ――コトン……。


「……あれ? なにか足にぶつかったような?」


 隅から隅まで探し回る途中。俺は手のひらサイズの石を蹴飛ばす。普段の話し方も忘れ、知人はいないからいいやと、石を拾い上げる。

 その石は、街灯と同じ紫色の光を放ち、地面にも(いびつ)な石を見つけた。


「誰かの落し物? 交番ないかな? やっぱこういうのは届けるのが先っすもんね……」

『どうされましたか?』

「あ、リゲルさん。その……。この石……」


 そうだ、リゲルいるんじゃん。知人はいた……。リゲルのこと完全に忘れてた……。そのことじゃなくて、この石なんなん?

 街灯の破片じゃないよね? 破片落ちてたら危ないもん‼ それに、もし蹴飛ばす力が強かったら、怪我人出てたよね?


『お気になさらず。皆さんおやすみしてるようですよ。アレンさん』

「そういえばそうっしたね……。囚人達休暇中なんだった。で、この石はなんすか? 少し黒ずんでるけど」

『石? ですか……。もう少し上にして貰えますでしょうか?』

「りょっす……」


 俺はリゲルに言われたように、少し手を持ち上げる。同じ身体を共有しているとはいえ、見やすい位置は違うらしい。


『ううむ……。これは僕にも……。答えが見つかりませんね……』

「リゲルさんでもっすか……」

『ええ……。ここに訪れた回数もあるのでしょうが……。過去このような物は、目にしたことなどありません』


 じゃあ、これ何なんだろ? 交番を探すのと同時に。リィファンを探す。自宅も確認し、ビニールハウスも覗いたが。彼の姿はどこにもない。


 ――『アレン。アレン聞こえるか?』


「ルグア‼ リィファンの場所特定できたんすか?」


 ――『そのための連絡に決まってるさ。場所がわかった。今アグラスと行動しているみたいだ。ただ、まだ父だというのは明かしてな

らしい』


「そうっすか……。しばらくは問題なさそうっすけど……」


 ――『どうやら二人は、ロムのところに向かってるようだ。なにか因果関係があるのかもな』


「因果関係?」


 どうして、ロムのところに? ロムは関係ないよね? あと、なぜリィファンとアグラスさんが一緒に……。


 ――『さあな。けど、危険な気配を感じる』


「危険? ちょま。それって……」


 ――『今は急いで合流してくれ。場所は今から伝える‼ そのまま前進50メートル。突き当たりを右に曲がれば、リィファン達がいるはずだ』


「りょかいっす‼」


 ――『同時に、ロムとロムが担当しているサーヤもだ‼』


「はい‼」

『アレンさん。急ぎますよ』

「リゲルさん飛ばしやす‼」


 ルグアからの報告。俺は助走をつけながら走り出し、少しずつ加速させる。ルグアなら助走無しでできるけど、俺にはやっぱり無理だった。

 ルグアって、行動が早いからなぁ……。揚げ足とってないか心配。ってか俺心配性重症かしてんじゃね? ルグア好きがやっぱり……。

 もう、結婚式まだなのかな? って、今はそんなこと考えてる場合か‼ 今は急行するのが先じゃんかよ‼ 石と結婚式のことはそれから。めっちゃ気になるけど……。所持金……。


『まもなく突き当たりですよ』

「あざっす‼ リゲル‼」

『アレンさんに呼び捨てされたのは、これが初めてでしょうか……。いえ、そのようなことは後日談としましょう』

「りょっすッ‼」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ