第14話 ルナの至近距離神弓戦術
※2022年5月07日 句読点修正・一部文章修正・ルビ追加
◇◇◇ルナ目線◇◇◇
「えーと、ボスは……」
ぼくは背の高い木々に囲まれたフィールドで、ボスが来るのを待ち伏せしていた。
手に持つのは神弓シリーズの初期段階装備、〈ナイトメア・フロー〉。第一層攻略時に偶然獲得したレア武器だ。
「あれかなぁ~?」
空を見上げ遥か彼方に目を凝らす。少しして飛んで来たのは茜色のドラゴン。その巨体はどこかで見たことあるけど、忘れてしまった。
ゴツゴツとした龍鱗には、おぞましさも感じられる威圧感。口から漏れ出す陽炎には、背に汗が流れるほどの恐怖を植え付けられる。
「でも、先生に『一人で行く』って言ったんだ……。先生に負けるものか!」
自分を鼓舞して敵を睨むと、魔法で矢を生成。まずは遠距離から様子を伺う。
命中率はアンゲーマー先生ほどではないが、ギルドの中で三番目に入っている。ぼくはそこまで視力は良くないが、ゲームでの視力は割と高い。
命中率で一番はもちろんルグア先生。二番はガロンさんになっていて、二人はほぼ百発百中。ぼくはまだまだ未熟だけど、瞬発力には定評ありなので問題ない。
矢を生成しては射る。ドラゴンの周辺を回り、四方八方から撃ち込んでいく。囲むように放つ矢は、ハズレはあるものの敵に吸い込まれた。
「アンゲーマー先生!! そろそろ、あの技使わせていただきます!」
矢を五本生成。ドラゴンにへばりつき矢じりで引き裂く。そのまま弓の方でも同様に……。
バックステップで距離をとり、矢を撃ち込んでから再び引き裂く。これを何度も繰り返し敵を翻弄する。
『ルナ!! 次! 右からテイル! そのまま斜め右上に向かってバック!!』
「ありがとうございます!!」
独特な指示だが、右から左へ滑る尾を避け敵の右下に移動。直後、斜め上に180度の回転攻撃。
アンゲーマー先生の勘は、精度がとても高くて助かる。間一髪で逃れるのを何度も繰り返し、攻撃のタイミングを待つ。
すると、
『おぉりゃあぁー!』
どこからかアレンの声。上を見ると、ありえないくらい大きな鉈を持ったアレンが、勢い良く振りかぶっていた。
鉈はドラゴンの左翼に命中。胴体から切断する。だが、少し経つと翼が戻りドラゴンのサイズが小さくなった。
〖ルナ殿強くなったのう〗
どこかで聞いたことのある声。
「クリム!!」
いつの間にかルグアも駆け寄ってきて、大声で叫ぶ。クリムの本当の名前は〈クリムゾン・ドラゴン〉。
何故、茜色なのかはわからないが、別のゲームのボスエネミーだ。ルグアがテイムしてからどこかしらで出会う、神出鬼没のエネミーになっていた。
ぼくはアレンの行動にうんざりしながら、ルグアとクリムの再会を喜んだ。
まさかラストアタックを奪われるとは、思ってもいなかったが……。




