第12話 ルグアの熱血指導
※2022年5月07日 句読点修正・一部文章修正
「んじゃ、早速デュエルから……」
いつの間にかルグアは盾槍を装備していた。でも、持っている手が逆だ。俺は右に槍を持っているのに彼女は左。
「ルグアって、左利きなんすか?」
「ああ、そうだが……。別に右でも可能だ。全武器コンプするついでに、両方の手で使えるようにしているからな。緊急時に対応できる。ちなみに食事は右だ」
「なるほど……」
「速度等倍で手加減してやるから。まずはいろいろ確認させてくれ‼ の前に右と左。どっちがいいんだ?」
選ばせてくれるのか。う~ん、どうすっかなぁ……。左だと相打ちになるから……。
「じゃ、じゃあ……。右で……」
俺が選ぶと、ルグアは槍を左から右に持ち替える。両方使えるのはプロゲーマー並みだ。手加減してくれるって言ってたけど、どれくらいの手加減なのだろうか?
「んじゃ、まずは受けからするか……。アレン。私が攻撃を避けるから、お前は本気で攻撃してこい‼」
「えっ⁉」
「ほら‼ さっさとかかってこいよ‼」
槍を構える俺に挑発してきたルグア。地面を蹴り上げ一直線に突き刺すが、横っ跳びで避けられてしまう。
勢い余って苦手の切り替えしで、バランスを崩してしまった。止まれるわけもなく木にぶつかる。
「アレン。さっきの動きは大型エネミーには当たるが、小型エネミーには当たらねぇよ。んじゃ、今度は私が見本見せてやる」
たったこれだけでわかるんだ……。たしかに小型エネミーとの戦闘経験がない。このことも見抜いているのだろう。
ルグアも同じように走って一直線の突き。俺も同じように避けるが、突然槍が真横に動いた。
足のひねりが速い。ルグアに視線で外れるように指示されたので、視界から抜けると、もう一度一直線の突き。
そこから真横に動かし、斜め上に振り上げててバク転。真下から突き上げる。レベルが違いすぎだ。
俺が知っていた槍の動きの、真っ直ぐにしか攻撃できないという概念を一瞬で覆された。
「ま、こんなもんかな? 大体わかっただろ? 私とお前の違いがさ。お前は広く見すぎだ。どこを攻撃しても当たると思っている。けど、小型エネミーはそうはいかない。もう少し視野を狭くしたらどうだ? それともう一つ。もっと攻撃のレパートリーを増やした方が良い」
そこまでわかるのか……。さすがは100万タイトル遊んでる人だ……。いろいろ知ってるんだなぁ~。
「攻略法は見ない。チュートリアルも全部飛ばしているし。勘で十分だ」
勘頼りすぎ⁉ ルグアが万能なんじゃなくて、勘が万能なんじゃん‼ どういう生活しているんだよ‼
「アレンはそろそろ寝た方がいいんじゃないか? 明日はボス戦だぞ‼」
「わかりました。おやすみなさい」
二人でルナが寝ている場所に戻り、寝袋の中に入る。ルグアの指導のおかげで槍の扱いに自信を持てた気がした。