第2-69話 雷のナンバー・ストーン
5月19日はリアゼノンなろう公開日!!!
一気に10話ブッパします!!!
「もうすぐそこだよ‼」
「ありがとう雷夜」
「どういたしまして。なんだけど、汚染の影響でボクはここから先に進めないんだよね……」
「そうなの⁉」
目的地まであと少し。言われてみれば、バレンが放っていたのと同じ紫の影。これが汚染の元凶なのだろう。
私が浄化担当として選ばれたわけだけど、風魔からそのやり方を教わっていないが、雷夜を個室の入口に残して進む。
その先にあったのは、どす黒く染まった大きなクリスタルだった。浄化するのはこれに違いない。
「あとは浄化方法だね……うーん」
「明理。どうかされたのですか?」
「そうだぞ‼ らしくねぇなぁ……」
「フォルテまで⁉」
「ここはオレに任せてくれって……。これまでの恩返しだ」
「浄化の方法知ってるの?」
「ん? 知らねぇけど?」
突拍子もないフォルテの反応。数時間前まで大量のお酒を入れてるのに、ものすごいピンピンしている。
フォルテの酔いはどこから始まるのやら……。酒気は帯びているが、千鳥足ではない。
「オレがこのクリスタルに触れれば……。レイグスと一緒にいた頃以来だな……。こんなことすんのは……」
「レイグス?」
「ああそうだ。オレとウェンドラはライバル同士だったが、レイグスはオレの友人……だった……。
オレを助けようとして、先に逝っちまったんだ……」
「先に逝ったって……」
「あれは……。4回目のウェンドラ戦だった。あの時オレは仲間を集めていたんだ。最初は10人だっけなぁ。
最終的に残ったのはレイグスだった」
フォルテの記憶。まだパズルピースは揃いきれていない。その中にも〝レイグス〟という言葉があった。
〝レイグス・リフェリア・ノウン〟
彼と一緒にいた時以来。過去にも起きていたのだろうか? フォルテ本人はそこまでしか記憶が戻っていないようだ。
ゆっくりとクリスタルの近づくフォルテ。やがてその姿は紫の煙で見えなくなる。私も追うが弾かれてしまった。
『コイツに触れたあと、浄化体として機能させれば……。よし』
「フォルテ大丈夫?」
『ん? 全く問題ねぇが……』
「ならいいんだけど。浄化体って?」
『んーと。詳しくは覚えてねぇけど。この汚染されたオーラを体内に吸収して、正しい情報に置き換える。それだけだ』
これがフォルテの仕事だったのだろうか?
ウェンドラもこの説明には納得のようで、オーラを吸収していくフォルテを見守る。
フォルテのことは元々情報がめちゃくちゃで、整理したものの結果は同じ。だけど、その理由がなんとなくわかった。
彼は自然を愛していたのだろう。だから、ナンバー・ストーンの浄化作業をしている。レイグスもきっと同じ。
「浄化終わりっと。ん? 前までなかったやつが入ってるんだが……」
「え?」
「い、いやあ。あのハンマーみたいなやつだよ。あと疲れたから解除してくれ」
「了解」
私は意識隔離状態を解除する。途端、フォルテの仮素体は消滅し、私の中へと戻っていく。直後大きないびきをかいて寝始めた。
いくら身体を共有しているとはいえ、いびきまで聞こえるのは少々困る。それだけ疲れていたのだろう。
けれども無事に浄化が終わって良かった。環境の変化に気づいた雷夜も、私達のところへ走ってくる。
「助かったよぉ……。これで発電所が増えたからね。今復旧作業しているはずだよ♡」
「発電所? 風力発電だけじゃないの?」
「そうだよ。避雷針発電所なんだけど。雷の上級精霊トールの雷で発電してるんだよね。
トールは気まぐれだから。なかなか雷落としてくれないんだけど。落ちた雷を避雷針で吸収分散して電力供給するんだぁ~」
「避雷針を発電に……。画期的ですね……」
「あ、もしかしてガデル興味ある?」
「いえ、ちょっと自作品に入れてみようかなって」
「ならぜひ使ってみてよ‼」
「ありがとうございます‼ 雷夜さん‼」
ちゃんと確認取ってメモを書くガデル。そんな彼女とは別に、レネルがクリスタルへと歩み寄る。
フォルテ同様クリスタルに触れると、中に入ったハンマーが光った。眩しすぎる閃光。思わず目を閉じてしまう。
再び確認した時には、レネルがハンマーを握っていた。いや、あれはハンマーではない。
「ライトニング・ミョルニル……‼」
「明理ちゃんなんでわかったの?」
「実は、私とフォルテが題材になった〈ルグア異世界冒険記〉にも、同名武器があったんです。嘘じゃなかったんだ……」
「ライトニング・ミョルニルっスか……。かっこいい‼ これでオイラもロムとバレン、メルフィナ姉さんの仲間入りっスね‼」
これで雷のナンバー・ストーンは浄化。残りはバレン達が向かっている、風のナンバー・ストーン。
彼らはどうしているのだろうか? 私達は集合場所の分岐点へと戻る。後方では、トパーズ色にクリスタルが輝いていた。




