第2-65話 おつるしえしあすかゆぐ
◇◇◇西部ラウナ遊園地 明理目線◇◇◇
「旅の冒険者様。この先にわたくしの彼氏がいます。どうぞ中へ……」
「ありがとうございます。ダレネスさん」
「いえいえ。せっかくお力添えいただけるのですから。頼りにさせてもらいます」
私はダレネスの案内で牢獄の中へ。そこには、これまた美男子が檻の中に入っていた。誰がこのようなことをしたのだろうか?
ダレネスに聞いても、理由がわからないそうで、牢獄の彼氏は無罪を訴えている。何も口にしていないのだろう。酷く痩せこけていた。
彼氏が言ってるのは嘘ではない。それだけは理解できる。彼も気づいたら牢獄にいたそうだ。
――『あひちんのく、あすもら』
「セイレーン来ていたんだね。こんにちは」
――『?あほこなんのうりいのこす』
「明理さんだよ。別の世界から来たんだって」
――『あづんーぬおす』
「あの……。ロムさん誰と話しているんですか?」
「誰って、水の守護精霊セイレーンだよ。古代言語で話していたから、難しかったかな? 明理さんのことを紹介したら『そうなんだ』って」
「そうだったんですね。で、でも……」
私には全くわからなかった。そのようには聞こえなかったから。メルフィナとダレネスも首を傾げて、バレンは無言で立ち尽くす。
古代言語は前に来た時も、聞いたことがないし、そんな言葉があったんだと、興味が湧いてくる。
「セイレーン。何かわかった?」
――『おでかちさがしにけつんいぞこみさたう、あったかのみのこど』
「どこにもなかったって……。明理さんどうしますか? 早めに探した方がいいですよね?」
「う、うん……」
(私には意味不明でわからないんだけど)
――『?あなきーあぐおほのぐんえごにあづんえぐ』
「その方がいいかもね……」
――『あったかう。わかった。じゃあ、そうするね』
「ありがとう。セイレーン」
ようやく言葉がわかるようになった私。法則を理解できるロムが羨ましい。
だけど、そんなセイレーンでも鍵が見つからなかったのは、この状況を悪くさせている。法則を知るよりも探すのが先だ。
待ちくたびれたのか、バレンは立ち寝していたので放っておくとして、私とメルフィナ、ロムとセイレーンの二手に別れる。
ダレネスは、バレンや彼氏さんと一緒にいるそうなので、お願いすることにした。
「ロムさん。セイレーンさんは西側を、私とメルフィナさんは東側を探してきます」
「了解です。何かあったら連絡します」
――『端から攻めていくね』
「そうした方がいいわね。あたし達もそうしましょ」
「わかりました」
◇◇◇アレストロ城書斎 アレン目線◇◇◇
「えーと。ジルグさん。ここの本読んでもいいんすか?」
「気になるものでもあったか?」
「はい。その古代文字の本とか……。こういうの好きなんすよ。よく文明とか面白いし」
「そのような文献なら用済みだ。好きに持って行くがいい」
「あざっす‼」
俺はジルグからの許可をもらい、気になった本を手に持つ。どれも不自然な言葉だらけ。何が言いたいのかもわからない。
でも、絶対この中に古代魔法についての何かがある。じゃなきゃこんな文献なんて置いてないじゃん。
読んで損は無し。けど、読んでも訳分からん。訳分からないのが好きだから、結果オーライってことで、じゃんじゃか読む。
それでも、全くわからない。そういうのが楽しい。この世界の歴史が学べるのなら、理解できなくても良い。
でも理解できないと読む意味が無い。理解するなら声に出して……。
「あちえてらぼよつおはむんえちうことともとまふおはみあどく? やっぱりわからないんすけど‼」
どちらにしろ無意味だった。どうしても読み解けない。こんな時にスマホがあればいいんだけどなぁ~。
録音系の魔法ってあるのかな? そういえば、今度高校でパソコンの授業があるんだっけ? ローマ字の復習忘れてんじゃん‼
ん? ローマ字? そうだローマ字だよ‼ これをローマ字に変えれば‼
――――――――――――――――――
あちえてらぼよつおはむんえちうことともとまふおはみあどく
↓
atieteraboyotuohamnnetiukototomotomahuohamiadok
↓
ukodaimahouhamotomototokuitennumahoutoyobareteita
↓
うこだいまほうはもともととくいてんうまほうとよばれていた
――――――――――――――――――
「古代魔法は元々特異点魔法と呼ばれていた……。なるほど‼ そういうことだったんすね……」
こういう風に読み解けばいいんか。これ気づいた俺天才? マジヤバじゃん‼ IQ取れんじゃね‼ 絶対行けるって‼
現実世界に戻ったら大学受験勉強しよ‼ どこに行こうかな? 専門大? 名門大? 体操強い大学にしよっかなぁ~?
だって俺体育会系だし? 可愛い女の子にチヤホヤされたいし? ルグアとの結婚も視野に入れないとじゃん‼
「俺のルグアは誰にも渡さないッ‼」(キリッ‼)
うわ恥っず‼ 誰も見ていないよね? 見ていないよね? 恥っず‼ めっちゃ恥っず‼ 人生一恥っず‼
決めつけてんじゃん‼ カッコつけてるじゃん‼ ほんと誰も見ていないよね? 大丈夫なんだよね?
「アレン何をしている。満足したなら書斎から出てもらいたい。ここの王である私の城を汚されては困るからな……」
「ジルグさん……?」
「呼ぶなら〝王〟をつけろ。呼び捨てやさん付けはもっと親しくなってからだ……」
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