第2-EX話 逃げのお供は宝石です
番外編です。今回のアレンはしっかりしています。
◇◇◇第十四層 アレン目線◇◇◇
「もう、なんなんすか‼ ○鬼みたいに追いかけて来て。こっちはヘトヘトなんすけど‼」
――ウガァァァァ‼
後方から襲ってくる巨大な蛇。フィレンではないため、友好的ではない。
この日は自由行動したいメンバーが多く、俺は一人でスルーしただけの十四層に来ていた。
で、現在蛇と鬼ごっこ中。狭い通路の壁にぶつかりながら、俺目掛けて突進してくる。そして被害妄想が冷静さを妨害する。
目印に第十九層で集めた宝石を落とし、逃げてるだけだが、さっきから同じ風景。
「な、なんだか目が回って……」
(このままでは蛇に食べられる……。どうしよう)
焦っているのに今日は割と冷静だった。けれども、そろそろ体力の限界。なぜなら、もうすでに2時間近く走っているから。
今すぐその場に倒れてしまいたい。これ以上は無理。図太い蛇が口を開けて追いかけてくる。で、俺は口の中にホールイン。
ベトベトの体内を歩くと、胃袋の中は山積みになった宝石でいっぱい。
真っ先に浮かんだのは、これを全部売れば億万長者になれるのでは? という欲望。それ以外で考えられるのは……。
『ニュフ……』
『ニュフニュフ……』(……パリボリパリボリ)
『ニュフニュフニュフン』(バリバリ……)
『ニュフフ……。ニュフニュフ』
ちっちゃな猫妖精。しかも宝石を食べている。胃袋の天井からは、止めどなく落ちる宝石。どこもかしこも宝石宝石。
猫妖精はバリボりと食べている。きっと、蛇の胃袋に空きを作るのが、このゲームにいる猫妖精の仕事なのだろう。
いくつか宝石を手に取って詳細確認をすると、5や6とレア度が低いものばかり。
「ってことは、高ランクで誘き寄せれば……。そういえば、ストレージにアダマンタイトが……」
俺はカテゴリー分け済みストレージを見る。最近ルグアから教わって、片付けが苦手な俺でも整理可能な便利機能。
もちろん、宝石は宝石で管理しているため、数秒でアダマンタイトを発見。レア度は16と上々だ。
自分でも珍しいくらいの即断即決で、アダマンタイトを実体化。予想通り猫妖精が食いついてくる。
「この調子。この調子で外に出れば……」
こんな戦い方はありなのだろうか? 蛇の胃袋は宝石で埋まっていく。猫妖精を外に出せば、呼吸できないのではないか?
その予想も的中し、脱出と同時に蛇の腹部が破裂した。代わりに宝石で道が塞がったけど、仲間の手土産にはちょうどいい。
以来、俺が第二十層と行き来していたのは、誰にも言えない秘密。
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