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ジムからの帰り道。
なんでスキルポイントが増えていたんだろう…。
全力で走っていない。
なのにどうして…。
スキルポイントが増える条件が違うのだろうか。
ダンベルを持って、限界まで上げ下げしたからって理由が妥当なのかな。
となると、共通点は「全力で運動をする」ってわけだ。
全力で運動をすればいいわけだから、外に出なくてもスキルポイントを増やせる。
これは、でかいぞ。
例えば、家の中で全力で腹筋とかスクワットとかでもいいんだ。
…。
やりすぎて、ムキムキになったら嫌だな。
でもまぁ、適度な運動であれば体にいいわけだし、さっさと家に帰ってやってみよう。
家に着き、エアコンのスイッチを入れる。
「家の中で汗だくになるっていうのもなんか新鮮だな。」
とりあえず腹筋から。
うぉぉ…。
分かってはいたけど、全力で腹筋ってとてつもなくきつい…。
たかだか10回ですら、息があがる。
が、全力だからここでやめるわけにはいかない。
まだまだ…。
まだまだ…。
っだぁ、もう無理だぁ。
28回。これが限界。
我ながら情けない。
もっと出来る予定だったんだけど。
ふぅー。
携帯を開き、スキルのアプリを開く。
やっぱり合っていた。
スキルポイントの欄が2に。
試してみたいこともあるけど、とりあえず昼ご飯にしよう。
運動するから、スタミナがつくもので…。
スタミナ焼肉丼を今流行りの出前で頼む。
昼ご飯を食べたら、出来るだけ運動をしよう。
…。
…。
…。
夜も遅くなり、夕飯を済ませ、風呂に入る。
1日運動した後の風呂は、とても気持ちがいい。
さってとー。
携帯を湯舟に落とさないよう気を付けながら、携帯を見る。
スキルのアプリを開くと、スキルポイント欄が9になっていた。
思ったより少ないけど、スキルポイントの増加ペースが一気にアップした。
スキルポイントを貯めるのが少し楽しくなってきた。
貯金でも同じなんだけど。
少しでも貯まり始めると楽しいし、嬉しくなる。
まぁ、お金もすぐ使っちゃう(裕福ではないから、使わざるを得ない)し、スキルポイントも方向性が決まったら全部振ってしまう。
明日も同じように1日運動して、貯められるだけ貯めてみよう。
後は、自分のスキルの方向性だ。
1つだけでもいいから、凄いと言われるスキルに振っておきたい。
特殊スキルがまだ解放されていないから、なんとも言えないけど。
そして、そのスキルに関連するスキルに残りを振っていこう。
あまり長風呂をすると、鼻血が出てしまう体質だから考えるのはこれくらいにして、風呂を上がろう。
風呂を上がり、そのまま冷蔵庫へ行く。
なぜかって?
そりゃー平日は飲んでないビールがあるからですよ。
うふふ。
翌日に仕事があると深酒をして、起きれないって可能性があるから平日は飲まないと決めている。
社畜の鏡でしょ?
まぁ、もともとアルコールに強くなくてそこまで飲みたい欲があるわけじゃない。
だけど、休日の間だったり休日前は仕事からの解放感からか、とても飲みたくなる。
この気持ち分かってくれるだろうか?
ふぅー。
ビールを飲みながら、少しずつ着替えていく。
このだらしがない感じも休日の特権だよなー。
ビールも2本目に突入し、酔いがいい感じに回ってきた頃。
そういえば…と思い出す。
明日の予定を考えていないじゃないか。
ダメだ。ちゃんと予定立てないとすぐに休日が終わってしまう。
おまけに今朝も寝坊だったじゃないか。仕事じゃないけど。
起きてから、運動のメニューを考え効率的にスキルポイントを取得する方法を考えていく。
が、いかんせん酔いがいい感じに回ってきているので考えられない。
「もう明日でいっかぁ~~。」
酒を飲む楽しみと言えば、この酔いが回って幸福感を感じることだけど、失敗だった。
そういえば昔好きな女の子に振られたなぁー。
それも二度も三度も告白して振られたっけ。
あぁ~もっとモテるようなイケメンだったらなぁ。
コミュ障なのも最悪だ。
「そういえばあんじゃ~ん。」
取り出したのは、携帯。
スキルアプリを開く。
「これこれ~。これでいいや~。」
そしてそこで記憶が途切れ、寝てしまった。