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夜の空気は、とても気持ちいい。
夜のランニングは、子供の頃に少し遅い時間まで公園で遊んでいるようなワクワク感がある。
駅まで少し距離があるけど、ゆっくり走って疲れたら歩く分には問題ないだろう。
700m程走ってから、気がついた。
体力的に駅までもたない可能性がある…?
自分で思っていたよりも長く走れているが、少し息苦しい。
学生の頃に比べて、体力が落ちている。
学生の頃って、普通に5kmとか走らされたよね?
きつかったけど、走りきれていたんだよな。
社会人になると瞬発力はあるんだけど、持続力がなくなってくる。
やっぱり適度に運動はしておいた方がいいんだね。
一度全力で走って、その後は少し歩くことにしよう。
息苦しさを感じながら、全力疾走はなかなかつらい。
100mくらいで息が上がり、歩き始める。
呼吸を早々に整えたけど、ドッと汗が出始める。
すぐに自販機で水を買って、一気に飲み干す。
だめだ…。駅まで走り続けられない。
情けないけど、次からもっと近い場所を目標地点にしよう。
そういえば、スキルアプリのポイント増えたかなぁ。
開いて見てみよう。
普通に開けた。
ってことはやっぱり…そうだ。
スキルポイントが1になっている。
今までもそうだったけど、どうやらスキルポイントが貯まればスキルのアプリは開けるらしい。
ここでスキルポイントが1になっていたわけだけど、可能性としては運動したからってのが濃厚か。
運動って一括りに言っても、走るとか歩いた歩数だとか時間帯もあるかもしれないし。
1つずつ試していくしかない。
万歩計をつけて歩数を調べながら、走ってみよう。
昨今の携帯は普通に万歩計ついているもんだ。
技術の進歩は素晴らしい。
後は、走るってのも距離計算もあるかもしれないけど万歩計の歩数と自分の歩幅で計算すればいい。
距離は予定よりもかなり短くなってしまったけど、帰り道で試してみよう。
とりあえずスキルポイント1は体力に振っておくのが無難だよな。
これから色々運動をして試すから、体力に振っておいた方がいいだろう。
あとは応用スキルと特殊スキルに何があるのだろうか。
そろそろ基本スキルには10ポイント近く振っているはずだから、試せるはずだ。
想像が膨らんで少しニヤつく。
色々出来る事が増えれば人生がいい方向に向きそうだ。
どんなスキルがあるかは、お楽しみだ。
こんな想像をする大人でいいのかは分からないけれど、ビーム撃てたりとか自分がすごく強くなれるようなスキルがあればお金も稼ぎ放題だし、格好良いしいいことだらけなんだけどな。
とりあえず帰りの距離は必然と同じ距離になるから、だいたい同じ歩数になるだろう。
あとは走りながらってとこか。
ゆっくりランニングした後と全力で走った後にスキルアプリを確認すれば、ほぼスキルポイントが増える条件が確定するだろう。
先に全力で走っておこう。
ちょっと息が乱れているけど、体力のスキルポイントが本来よりだいぶ増えているわけだから無理しても全然平気だ。
距離は100m。すぐに走り終えて、汗をかきながら携帯でスキルアプリを確認。
ビンゴだ。
スキルポイントは1増えていた。
これでスキルポイントが増える条件は全力で走るってことが一番近いことが分かった。
おまけに数えたら、今回で基本スキルにスキルポイントを10振ったことになるから、応用スキルが開放されるはずだ。
これはゲームをやる時にステータス画面でいつも思うんだけど、
力、素早さ、体力、知識、器用さ
これはだいたい分かるのよ。
運って、何に使うんだ?
ましてや、スキルアプリで現実に反映されるわけだけど。
宝くじが少し当たりやすくなるとか…?
もしくは、ラッキースケベ的なものを見れる機会が増えるとか?
あまりに不毛で運にスキルポイントを振るのはもったいなく感じてしまう。
ましてやゲームじゃないからね。
ある程度バランスよくステータスを伸ばすには知識に振っておきたいところだけど、現実世界で知識に振るともっと頭良くなるとか…?
頭がキレるようになるならいいけど、知識は違うもんな。
ちょっと脳筋っぽくて嫌だけど、ここは素早さに振っておこう。
素早さを4に。
OK。
とりあえずスキルポイントの条件は分かったし、歩いて帰ろうか。
家へ向かって歩きながら、ふと考える。
素早さってステータスもかなり曖昧だよな。
移動速度が速くなったりするのか、もしくは体の動き全体が早くなるのか。
体の動き全体が早くなったら、だいぶ気持ち悪いよね。
移動速度が速くなっている気がするんだけど、いかんせんタイムとか計る機会がないから分からない。
休みの日になったら、自分で計測してみよう。
あとは極力走る機会を増やして、スキルポイントを増やしてみよう。
ついに、応用スキルも解放されるし。
なんだかんだ楽しみだ。
家に着き、またシャワーを浴びて就寝。
アラームたくさんかけてあるし、明日はスマートに起きれるだろう…。