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模様替えもあらかた終わった頃。
体を動かして、気がまぎれていたが一息ついたところでスキルのアプリの事が頭をよぎる。
やっぱり、普通じゃないよな。
ここでアニメなんかだと素直に受け入れて、自分をどんどん強化していくのだろう。
でも実際に自分に起こってしまうと、とても動揺するものだ。
だって、携帯で自分の体をいじれてしまうんだぞ。
見た目こそ変わらないけれど、あからさまに力が強くなったんだ。
今まで大して気にしていなかったけど、他にもスキルに振ったんだ。
体の調子がやたらいいなと感じていたのは、体力に振ったからだよな…。
素早さって、もしかして走るのが速くなっていたのか…?
色々考えてパニックになりながらも、とりあえず自分の机周りを片付けて定時で退勤する。
「お疲れ様でしたー。」
そそくさと会社を出て、駅へ歩きながら考える。
仮に自分のステータスをスキルに振って上げられるとしよう。あくまで仮ね。
もし、本当にスキルというアプリで自分のステータスを上げられるのだとしたら、スキルポイントは何で増えていたのだろう。
携帯を取り出して、スキルのアプリを開こうとするが立ち上がらない。
クソ…。
訳が分からないシステムが自分に適用されてしまう恐怖。
ここでヒロインが登場して、自分が世界を救うアニメみたいな展開だったら、先も読めるんだけど。
全く。なんなんだ…。
家に帰ってからも携帯を取り出して、スキルアプリを確認してみるがやっぱり立ち上がらない。
携帯を布団に放り投げ、少し考える。
やっぱりまずは、スキルポイントがどうして増えるか試してみよう。
って、どうやればいいんだ。
分からないし、とりあえず風呂に入ってご飯だな。
ご飯を食べながら、携帯で検索してみる。
無駄だとは思うけど。
「自分 スキル」
「スキルポイント 増やし方」
分かっちゃいるけど、ゲームの攻略情報しか出てこない。
ですよね…。
まぁ、深く考えてもいけないし普段通りの生活の中でスキルポイントが増えていったから、いつも通りの生活を続けてみよう。
今までと違うけれども、もしかしたら毎日スキルポイントがもらえるのかもしれない。
日によってランダムにもらえるスキルポイントの量が変わるとか。
とりあえずだ。
ここ2日間であった出来事は遅刻して仕事に行った事と会社内の模様替えくらいだから、明日1日大人しくしていて何もなければそのどちらかかもしれない。
普段通り…と意識すればする程、いつも何やってたか思い出せなくてなんだかぎこちなくなってしまう。
1人で部屋にいるのに。
「フフ…。」
おかしく感じて少し笑ってしまった。
動揺してたのも落ち着いて、プラス思考に考えられるようになってきた。
もしスキルに色々振れるとしたら、自分のステータスはとてつもなく上がるよな…。
でも上限とかあるのかな?
応用スキルとか特殊スキルって、なんだろう。
もしかして、戦ったりできるスキルとかあるのかな。
無敵になれたり?
などど、考えているうちに頭が冴えてきてしまった。
明日こそ遅刻しないようにアラームをかけて、早めに寝ようと思っていたのに。
まぁ、まずはアラームをかけておこう。
ここで、寝坊が心配な俺はアラームをたくさんかけるようになってしまう。
6:24 ON
6:32 ON
6:45 ON
6:52 ON
7:00 ON
こうやってアラームをかけてしまうと、まだあとちょっと寝れると思って二度寝しやすくなってしまうんだけど。
心配だから、こうやって何個もアラームをかけておこう。
普段は極力1個のアラームで起きるようにしてたんだけど、1回でもこのアラームのかけ方をしちゃうと、癖になるんだよね。
極力早めに寝て1回のアラームで起きるようにしようね。
さて、アラームはたくさんかけたから明日の寝起きはたぶん…心配ないだろうし。
少し運動でもしようか。
スキルのアプリの件で、変な高揚感がある。
○○の件でって言葉の社会に出るとやたら使うようになる。
メールやロインで用件を伝える時だったり、取引先への連絡だったり。
格好良く言いたいだけな気がするけど、それが社会でのマナーだと教育されたら使う。
下手な言葉は、分かりにくくするだけなのに。不思議だよね。
運動でもしようか。
もし、体力と素早さのステータスに影響があったとしたら、一番分かりやすい。
家の外に出て少しだけストレッチをする。
このストレッチが、歳を重ねる毎にとても重要になってくる。
普段ロクに運動していない人間が、全力疾走したりするとすぐに肉離れとかアキレス腱断裂とかするからね。
運動前には、必ずやるようにしよう。
さて、走り始めますか。
学生時代の体育以外ロクに運動してきていないけれども、走り方はどうすればいいんだろうか。
まずは、マラソン風にゆっくりランニングして、途中で全力疾走を入れたりすればいいかな。
家の近くだけを走るってのは、なんだか味気がないから駅までの往復コースにしよう。
タタッ。
ゆっくりだが、ランニングをしながら駅を目指す。