表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

1

毎日仕事に明け暮れ、帰ったら少し家事をして風呂に入ったら寝なければならない時間になり寝る...。

そしてまた仕事...。


こんな日常に嫌気がさしていながらも仕事をしなければないらない。


さぁ、朝がきた。うるさい携帯アラームが鳴り響く。

体が重いけどアラームを止めて出勤の準備をしなければ。


ピピッ。

アラームを止めた。だが、本当に起きなければいけない7時までは後15分ある。

本当に起きなければならない時間の15分前には起きておくようアラームをかけておく。

社会人の嫌な習慣だな。


まだ、もう少し寝よう...。


...。


...。


...。


はっ、なんだかやけに外が明るいな。

携帯の時間を見る...。


んん!?7時どころか8時!?

非常にまずい。


俺は小さな会社で平社員として勤めている。

小さな会社だからこそ、1人でも欠けると大変なわけ。

って、余計な事を考えている場合じゃない。


急いで着替えを済ませつつ、携帯で遅刻の旨を伝える為の電話をしよう。

旨って言葉は社会人になってやたら使うよな。


余計な事を考えてしまったな...と思いつつ電話、電話と...。

電話帳のアイコンを押そうとすると隣にスのアイコンが。


あれ、こんなアプリって入ってたかな。

スキルって書いてあるしアイコンも真っ青でカタカナで「ス」しか書いてない。

こんなアプリ取ったら、インパクトあって忘れなさそうなんだが...。


って、こんな事を考えている場合じゃない。

電話っと。責任者の宮本さんに電話しなければ。


「すみません。中島です。」


ここまで言った時点で雰囲気が暗いのがわかる。


「おう。こんな時間になんだよ。」


宮本さんの野太い声が聞こえてくる。

雰囲気でもう遅刻って分かってるくせに...。


「申し訳ありません。寝坊してしまって...。少し遅れます...。」


言い難いけれども頑張って言葉にして伝えた。

すると電話の向こう側で他の社員数人で「使えねー。」「遅刻するなんて恥ずかしい。」と喋っている声が聞こえた。

わざわざスピーカーにして話さなくてもいいのに。


宮本さんはフフッと少し笑いながら

「わかったよ。後20分で来いよ。」

と言い、一方的に電話を切った。

どれだけ急いでも会社まで30分かかるのを分かっているのにな。

着いたら「間に合ってねーよ。」って、またドヤされるんだろう。

それでも社会人だから、行くしかないんだよな。

だいたい寝坊したのは自分のせいだから。

と自分に言い聞かせ、準備を終えて家を出る。


幸い家から会社まではバス1本と電車1駅だから、バスが来るまでは少し休憩ができる。

バスが駅に着いてから電車が来るまで7分もあるし、焦らなくて大丈夫だな。


バスが来るまでの間、何をしようかな。

と思いつつ携帯を開くのは、現代人の定め。


そういえば、寝坊してドタバタしていたけれどもスキルと書いてあるアプリって何だろう。

とりあえず開いてみよう。

開いてみるとそこには

・基本スキル

・応用スキル(スキルポイント10振り分け後、解放)

・特殊スキル(スキルポイント30振り分け後、解放)

と書いてある。


あぁ、携帯ゲームでよくあるスキルの振り分けだな。

スキルを最初に振り分けてから始まるタイプのゲームなんだと即座に理解して、まずは基本スキルだろうと基本スキルボタンを押してみる。


するとそこには、想像してたスキルとほぼ同じように書いてあった。

・力

・素早さ

・体力

・知識

・器用さ

・運

これってステータスじゃないのか?と思ったがステータスをスキルで振るタイプだなと思い、ポチポチとボタンを押してみる。

右下の欄にはスキルポイント5と書いてあるわけだから、とりあえず5を振ってみるか。


ゲームをするなら剣士とか狩人とか攻撃職が好きだから、後で失敗しないようにある程度平均的に振ろう。


力を2に、素早さを3に、体力を2に、器用さを2に。

基本的にゲームで知識を必要とするのは魔法使いだし、運を必要とするのは特殊な職業だろうから、振らなくても問題はないだろう。


各スキルを振ってからOKを押す。


リセットは出来ません。本当にこれでよろしいですか?

と表示された。


あー、あるある。

どのゲームもリセットするには課金しなければならないシステムがあるから、このゲームもそういった類なのだろう。


再度OKを押す。


スキルレベルが反映されました。


とだけ表示されて、アプリが落ちてしまった。

なんだよ!ここからゲームが始まるんだろ!と思い、スキルのアプリを押してみるが反応がない。

これは...不具合が修正されるまで、ロクにできないアプリだ。

後で消そう。

と、諦めたところにバスが来る。


暇潰しにはなっただろうと言い聞かせ携帯の画面を消しバスに乗る。

プシュー。

バスのドアが開き、空いている席へ歩く。


ん?少し足取りが軽い?

まぁ、昨日は少し長く寝たからかなと思い、席に座る。


程なくしてバスは出発。まるでドナドナだななんて考えながら、会社に着いた時の事を考えてブルーになった。

そして、駅に着き電車に乗り換える。


が、バスが交通渋滞に少しハマってしまったようで、電車が2分後に来てしまう。

いつもと違う時間に出勤するとこういった予想外の出来事が起こってしまう。最悪だ。


急いで走り、駅の階段を駆け上がり改札を抜け、ホームへ

階段を降りる。

間に合え!!!


プシュー。ギリギリのところで電車には乗れた。

怒られに行くのに急ぐなんて、なんて社畜の鏡だろうと思いながら一息つく。


あれ?少ししか体が疲れていない?

さっきもバスに乗って席に向かう時、足取り軽かったよな。

やっぱり今日は体の調子がいいんだ。


さっさと怒られて仕事を頑張って早く終わらせよう。


電車に揺られながら、今日の仕事が早く終わる事を祈ってみた。


会社は駅の階段を降りて、100m程先のビルに入っている。

社会人として遅刻したからには、とても急いでいるように見せなければと思い走る。走る走る。


学生時代もこれだけ全力で走ったことはないと思うくらいに。

年齢はもう30歳だけど、まだイケる!などと考えながら。


会社の入口に着き、呼吸を整えようとしたらすぐに呼吸が整う。

やはり、体の調子がいいのかもしれない。

と思ったがすぐに気持ちを切り替え、申し訳なさそうな顔をしながらドアを開ける。


呼吸が整っているにも関わらず少し息を切らしたように


「申し訳ありません!遅れました!」


他の社員がニヤニヤしながら、こちらに少し目線を上げまたパソコンに視線を戻す。


奥側の机にいた宮本さんもニヤニヤしながら、こちらへ歩いてくる。


「おう。時間に間に合ってねーな。」


案の定、嫌味を言ってくる。

間に合うわけないだろ。ばーか。と思いつつ


「申し訳ありません。急いだのですが。」


寝坊してしまったからこんな回答しか出来なくて悔しいと思いつつ。

宮本さんは手をパンッと叩いて


「遅れた分は残業してやっていけよ。ただでさえ使えないんだから。」


くそっ。ここぞとばかりに言いやがって。

腹立つなと思いながらも


「はい...。」


と、元気がない返事をし、いそいそと自分の仕事を始める。


昼休憩に入り、食事を済ませふと携帯を見てみる。


そういえばスキルってアプリの不具合直ったかな。

起動してみると普通に開けた。

右下にはスキルポイント1となっていた。

とりあえずなんでもいいやと思い、力を3にしてみる。


OK。


これでゲームが始まるかなと思ったが、やはりアプリはそのまま落ちてしまい開けなくなってしまった。


なんなんだ、このゲーム。

全く始められないじゃないか。

すぐに携帯を閉じ、朝遅刻した分を取り戻そうと仕事にかかる。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ