表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い君は最強の力を持つが故に  作者: 林十-りんと-
第一章 縛る者
7/120

七話 可愛さの再確認

「誰かもわからない奴から、助けてくれって言われてもなぁ。それに、君の前を走っていた草壁 ゆきはどこへ行ったんだ? 」

 彼女に似ているから血縁者なんだろうけど、わからないものはわからない。

「ごめんなさい。僕は草壁 ゆう。草壁 ゆきの双子の弟です。ゆきはここにいます。ゆきを君の家で匿って下さい。」

 そう言って、自分の膝上の生き物を俺に見せてきた。


 誰か冗談だと言ってくれ。だが、彼の必死な様子を見れば、冗談ではないと思わざるを得なかった。たったさっきまで人間だったのに、どうやったら、見たことも聞いたこともないような生き物になるんだよ。


 よく見ると、可愛いくもある。元々、可愛いからだろうか?


 ふと彼を見ると、なかなか答えない俺を不安げな様子で見上げていた。

「俄には信じられないが、それを信じたとして、その生き物が草壁 ゆきだという証拠はあるのか?」

「もう少しで元に戻るはずだけど……ここにある、ゆきの鞄は証拠にならないかな?」

 確かに持ってはいた。まぁ、良いや。それでも女の子一人だけで男の家に入れるわけにはいかない。

「……わかった、匿ってやる。ただし、二人一緒だ。それと、俺は草野 凌だ。」

 彼の表情が明るくなった。少ししか見ていないが彼女とは大違いだ。

「ありがとう! 後で追いかけるから、先に帰ってて良いよ。」

「いや、元に戻る証拠を見せてもらう。」

「あ、いや、それはちょっと……ゆきが戻ったら裸になるから。」

 信じてもらえなかったことにショックを受けた後、狼狽えたかと思うと彼女の鞄と俺を交互に見ながらそう言った。鞄の下をよく見ると制服が畳んで置いてあった。

「……わかった、ゆっくり先に行くな。」

 俺は今、絶対顔が真っ赤になっている。なんで制服に気付かなかったんだ。



「草野君、お待たせ。ごめんね、先に行ってもらって。」

 びっくりした。急に声をかけられると驚くだろ。

「別に謝らなくても良いが。……行こうか。」

 自宅に向かう。

 それにしても、今、どこから現れた? まだ学校から真っ直ぐ進む道だから、わかりやすいところにはいたが、彼の気配を感じなかった。背丈の同じ彼女を抱えているにも関わらず、息も切らしていない。




 気配が薄い…わけないよな。彼女は(多分彼も)可愛いんだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ