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可愛い君は最強の力を持つが故に  作者: 林十-りんと-
第一章 縛る者
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三話 新リーダー

 放課後がやってきてしまった。

 待ってましたと言わんばかりに、みんなが草壁さんの周りに集まっていく。

 誰も話さない………俺待ち? 俺、まだ準備できてないんだけど。当の本人は我関せずといった様子で帰る準備をしている。みんな、彼女を今にも殴りそうなくらい睨んでるんだけどな。


 準備を終えて俺が立ち上がると道を開けてくれる。そんな心遣い望んでない。

 ………腹くくるか。

「一緒に来てもらおうか。」

 彼女の目の前で言った。だから自然と俺を見上げる形に……可愛い。だが、さっきと同じ、無関心、無感情。

「………仕方ない。」

 え、良いの!? それよりも、反応が……。

 苛つく奴らを宥めることになった。



 教室を出ると、彼女に似た男子生徒が心配そうにこちらを見ている。身長まで似てる。他の二組の生徒達も心配そうに彼女を見て、小さな声で「可哀想。」と言っているのだろう。聞こえないが、俺もそれに同意したい。俺を先頭に彼女を一組全員で取り囲んで歩いているのだから。




 ここはどこだ? と言いたくなる空き地に来た。何で、道の隙間を抜けたら広い空き地があるんだろう。不思議だが、たまに使わせてもらっている。

 ところで、何故か俺と彼女は向かい合っている。みんなは隅に座って観客に徹している。俺にどうしろと? 女を殴れと? そんな趣味ないんだが。そんなことを考えていると彼女が話し始めた。

「何故、あなたはずっと闇を抱えたまま、今の場所に留まり続けているの? 」

 は?

 怒りの沸点は下がったはずなのに、何故かすごくムカついた。

「お前に俺の何がわかるんだ。何も知らないくせに。」

 怒りが次第に大きくなっていく。自分でも押さえられない。何故だ。

「知らない。知るつもりもない。」

 俺の中で何かが弾けた。

「なら! なんで! 知ったようなことを! 」

 言いながら、彼女に殴りかかっていた。

 ………そのはずだった。気付いた時には、腹部に一発殴り返され、地面に仰向けになっていた。滅茶苦茶痛い。次いでに言うと、不思議と怒りは収まっていた。

 彼女は相変わらずな様子で、何故か草笛を吹き始めた。めちゃくちゃ上手くて、心地好い。痛みが和らいでいくようだ。本当に何故???




 暫くすると、彼女は何事もなかったかのように二人で帰っていった。そう、二人で。空き地の入口には、さっきの彼女に似た男子生徒が彼女を待っていたんだ。いつから居た? みんなも同じことを思ったのか、驚いていた。




「新リーダーは草壁 ゆき? 」

 誰かが呟いた。

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