進化
全身を優しく暖かく包み込む光で目が覚めた。
昨日の事が頭に過ぎる。
はあ、とため息1つ付き、外に出てみた。
眩い光が鱗を照らす。
ぐーっと背伸びをし、足を伸ばしたりして準備体操をする。
(今日は、レベルアップだ、
上限まであと5だけだ、上限に達したら進化とかあるんだろう。
どんな進化出来るのか楽しみだ。)
グッグッと腕の準備体操を終え、近くの川に近付き、その川に顔を突っ込んで水を飲む。
ゴクッゴクッと音を立てて飲み込む。
「ぷはあ」
気の済むまで水を飲み終わると、1度拠点に戻り肉の塊を持って出発する。
肉を食べながら、レベルアップの出来そうな相手を探す。
(ポイズンアントは余裕だけと、ヘビーアントを連れてこられたら厄介だしなー、)
そう思いながら歩いていると、目の前にヒトガタのようなものが現れる。
(…お?)
それは手、足、胴全てが細く、身長は170くらいだろうか。指が長く人のような形をしているが、顔は無く、全身真っ白でナナフシのような見た目をしていた。
(なんだこいつは)
【シロカオナシ】
【ランク E】
【昆虫に分類される。その正体は謎が多い。
しかし、被害状況は今のところ確認されていない。】
(シロカオナシ…そのまんまじゃねえか)
ステータスを見ようとグッと目に力を入れる。
「シロカオナシ
Lv 99/100
レベルに差がありすぎるためこれ以上のステータスは見れません。」
と頭に声が響く。
(レベル99…!?)
以外にレベルが高く驚愕する。
しかし、逆に好奇心が湧きこっちから仕掛けることにした
「グルル…」
体制を低くし、飛びかかる準備をする
シロカオナシはこちらに気づいているだろうが何もしてこない。ゆらゆらと揺れているだけだ。
「グルァ!!」
ダッと飛び出し、1m手前で飛び越えるようにジャンプする。
そのまま前周りに回るようにし、尻尾で叩きつけるようにして攻撃する。
「バキッ!」
鈍い音を出してシロカオナシが倒れる
(どうだ!)
着地し、少し距離を取って振り返る
「クシュクシュ…」
とシロカオナシが声を上げた。
その後頭に声が響く。
「経験値を280会得しました。レベルが15→20にアップしました。上限に達しました。進化しますか?」
(よっっし!進化する!)
小さくガッツポーズをし、返答する
「進化先を提示します。」
【リトルドラゴン】
【ランク C-】
【子ドラゴンが成長したドラゴン。
攻撃力も防御力もバランス良く成長し、翼を持つことで飛ぶことも出来る。
進化先は狭まるが、安定している。】
【プチナイトドラゴン】
【ランク C】
【素早さと防御力の成長を秘めたドラゴン。
飛ぶことは出来ないが、持久戦に特化したため、しぶとい。
街を守らせるための番竜としても知られている。】
【ダークメアドラゴン】
【ランク C】
【全身が黒く、紫に光が染まるドラゴン。
そのドラゴンは悪夢を好物とされている。
素早さと攻撃力に優れており、短期戦を得意とする。
邪竜とは別で認識されている。】
(うー…ん…)
と悩む、そりゃそうだ、1度選べば二度と戻れないのだから。
(よし!決めた!)
決めたようだ。
(俺は、ダークメアドラゴンにする!)
疼く中二心が止められなかったらしい。
しかし、理由は他にもある
「邪竜は別で認識されている。」
という1文。
邪竜の子供だかなんだか、そして邪心とまでスキルに付いてるんだから心配なのだ。
「本当によろしいですね?」
と頭の中で問いかけてくる。その問に対して
意気揚々と
(ああ、頼むぜ!)
と返した。
すると体が光を帯びていく。
徐々に、目線が少し上に上がり、指は4本に増え、鱗が大きくなり、紫帯びた黒へと変色し、腕と脇の間には膜が張り翼のようになっていく。
尻尾はより長くしなやかに、身体は細いが筋肉質に、力強そうで鋭いく長い爪が生えてくる。
…。進化が終わったようだ。
身長は170行かないくらい、頭から尻尾までの長さは2,5メートルくらいだろうか、
角はない。
「グルルルォァ!!」
(やったー!!!)
と歓喜する、声は少し高くなった。
「スキル 夜目Lv 1 を会得しました。
スキル 隠密 を会得しました。」
【夜目。夜のような暗いところでもよく見えるようになる。その効果はLvに依存する。】
【隠密 敵に見つかりにくくなる。その効果はLvに依存する。】
ここで俺はステータスを見てみる。
ダークメアドラゴン
ランク C
Lv 1
HP 50/50
MP 30/30
攻撃力 48
防御力 18
素早さ 45
魔法力 37
恩恵
「邪竜の子」「全てを覗く者」
種族スキル
「竜の爪 Lv2」「竜の鱗 Lv2」「竜の牙 Lv2」「夜目 Lv1」「隠密 Lv1」
通常スキル
「引っ掻く Lv3」「噛み付く Lv1」「ドラゴンテール Lv2」「食回復Lv--」
「火の息 LV1」
なるほど、確かに攻撃力と素早さ特化だ。
しかし、進化すると他のステータスが著しく下がる様で、狩りには気をつけなければならない。
(よっし、この感じで順調にレベルアップ行くぞー!)
俺は意気揚々と狩りに出かける。
シロカオナシの死体が無かったことには気付かずに。
夜まで狩りをした、その結果、レベルがいくつか上がった。
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ダークメアドラゴン
ランク C
Lv 17/50
HP 35/75
MP 30/58
攻撃力 95
防御力 44
素早さ 89
魔法力 57
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拠点の中で肉を食べる。
この辺りにはどうやら、というかやはりめぼしい魔物は居ないようだ。
このままだとレベルは上がりそうにない。
今日倒した魔物はポイズンアント、そしてダークボア。
それ以外はまだ見かけていない。
(ヘビーアントの縄張りの中なのか、あのヴォルケイドラゴンのせいなのか…)
肉を食べ終え横になる。
満腹になったおかげで睡魔に襲われる。
(まあ、進化したんだし、明日考えるか…)
「スー…スー…」
と寝息を立てて眠っている。
朝日が昇る頃、大きな音で目覚める。
「ギシャァァァァァ!!!!」
ガバッと起き上がると外に出る。
(な…なんだ?!)
そこには、大きな木々が倒されていく光景が目に映し出される。
急ぎ足でその場所に向かうと、人間と大きなクモが対峙しているのが見えた。
人間、ついに出ましたね