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小説を書けない吸血鬼  作者: みつる
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想い出の焼却

想い出の焼却。


嫌な思い出のほうが小説のネタになるのでは?ひょんな考えから、そんな事に思い当たったソニア。だからといって、自ら嫌な思い出を作るのはどうかと思う程にはヘタレであった。妥協を重ねた協議の結果。一日中、映画館で映画を見続けるというなんとも奇妙な決定をした。


ソニアは映画は嫌いではないが二時間じっとしているというのが、なんとなく退屈で避けていた。また自分でろくな話も思いつけないくせに、あまり面白くないと、(ボクならこうするけどね!)とエラそうにする誰にでも良くある癖があった。そんな自分が映画館に入り浸りになったら、つらいだろう。何の意味もない軽い思い付きである。そう!ソニアは暇なだけなのだ!


起床したのは朝の8時であった。この時点で急がなければ映画の始発には間に合わず、初っ端から企画倒れだというのに、ソニアはどこ吹く風であった。そもそも見たい映画などありはしなかったのである。この企画にしたところで、ジャンプのチェーソン漫画からのパクリ企画であり、最初からそこまで乗り気でないのである。それも、その漫画はデートプランとして用意されていた。

ソニアが映画館についたのは11時前だった。一本目は辞めた。寒い上に急いで準備するのが嫌だったのだ。いそいそと外へ出たソニアは電車に乗っている間、他に楽しいことがあるのではないかと探ったが、なにも出てきはしなかった。足取りは重いが、時折へんな笑いが出てくるのは、なんとも不思議な感覚であった。


一本目 伊っ藤


ホラーだからという安易な気持ちで見た。映画館でホラーは初めてなのでちょっと楽しみだった。実はCMで気になってたというのも理由だ。なんでも続編らしい。見始めて気づいた。普通は前の映画を見た人が見るような作りになっているようで、続編を見ていないボクには思い出話をされたところで、イマイチ分かりにくかった。です。なんかアメリカンだった。


一本目を終えたソニアは、すでに疲れていた。ホラーならではの大音響に誰が誰の子供時代なのか分からなくなる。ワンパターンにピエロが殺しにかかり、蜘蛛的ななにかは良く出てくる。たまに絡められるkissは大人な。


(辞めようか、くだらない)


見れば、若いカップル達が楽しそうに腕を組み歩いている。陰気な顔でうろついているのはソニアくらいだ。だが、ここで逃げてしまえば、またこの企画は持ち上がるだろう。人気なかったくせにやたら宣伝しているハイスクー〇フリートの時期に被らせるように、この企画が持ち上がるに違いないのだ。ソニアは自分の性癖に嫌気をさしながらも二本目の映画へと足を運んだ。


二本目 尻山!中止ん鞍


入ると、年配ばかりだった。あっ!と思うも時はすでに遅く、隅っこで見た。なんとなく、面白そう!だと思って入ったが、思えば歴史にまったく興味がなく、いくつか事前知識が必要なのかもなーという話が何度か出てきた。そもそもこの事件自体よく知らないので、裏方の話をされたところで、そうなんだーという感想?しか出てこない。話は日本コメディと大河?を混ぜた映画?で声が大きくてうるさかった。ずっと同じことを繰り返しているような気がした。


映画ならではの大音響と耳に絡みつくような関西弁。ソニアは四時間を使い終え、かなりの疲労を蓄積していた。そもそも面白くないきがする。時刻は16時頃で切り上げるにはいい時間帯であった。まあまあ辛い目にあったし、これでいいんじゃないかな?妥協が心をよぎる。


(でも、せっかくここまで来たのだし、二本目いったら三本目も見とかないと)


誰に言われたわけでもないのに、変な使命感に燃えたソニアは迷いながらも三本目を視聴することに決定した。羊の所ーんか穴!雪!荷、どちらにするか迷ったが、所ーんは見たことが無くて、穴雪なら見たことあったので穴雪を見ることにした。


三本目 穴雪


1を見た時、イマイチ分からなかったので、まったく期待していながったが、良かった。前作二本とも疲れる内容だったのもあるかもしれない。ストーリーは王道で、これだ!これでいいんだよ!とついつい思ってしまった。歌や演出も細かくて良い。頑張る女の子という感じだ。男はトナカイより役に立っていない。正直アニメのほうが純粋に人を楽しませようとしているような気がして、見ていて楽しい。


ソニアは若干回復していた。映画のチョイスは大事だなと思わせられる内容だった。前二作と違い、まったく期待していなかったというのもいい方向に作用したらしかった。時刻は19時である。穴雪のおかげで、回復したソニアはこれで最後だという気持ちで映画を見る。目は疲れ、なんとなく腰が痛い。三作目はアニメ繋がりでサエカのを見ることにした。アニメはなんとなく見て、小説は読めなかった。映画ならではのお色気シーンは見物だろうなあとボンヤリしながらソニアは入っていった。


三本目 サエカの


キモイオタクがキモイ妄想して、映画に落とし込んで、それをキモイオタクが見るという円環の理。


あんなこといいなできたらいいな、あんなゆめこんなゆめいっぱいある~けど~


事前知識はキャラと概ねのストーリーの把握だったが、よく出来ていたように思う。しっかりと全員を生かしつつ、エンドまでよくまとめたような気がする?すごいちゃんと考えられている気がする?加藤の足ばっか気になった。cパートがすごい長い。最終的にボクも年取ったなぁと、なんか思わされました。ハイ。


くりえーたー気取りには、なかなかに辛い映画を最後に見終わり、ソニアの戦いは終わりを告げた。最近読んだ漫画に人間は脳髄を揺らすことが健康に良いのだ。という一文を実践したという達成感があった。とくに何かを得たわけではない。お金はたくさん失ったが、それも悪く。つまりはイイ記憶に思い出なるだろう。そう考えながらソニアは居酒屋で酒をよく飲み、いくつかの記憶を失いながらも、これを書くに至った。





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