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小説を書けない吸血鬼  作者: みつる
1/6

連載

ソニアはふと思ったのだ。


(なんだか連載してないと生活に張りが無いな・・・・)


この発言は実に無責任なものであった!一週間前、ソニアはようやく一年連載していたものに、ケリをつけ、ひゃっほう自由だ~!とのたうちまわっていたにも関わらずだ。ソニアは無趣味でツマラナイ吸血鬼であった。なので、二週間もの月日が経つうちにやることはなくなり、内の中の己を見つめ始め、そうして自分の価値を考え出した。答えなど、他人に求めるのが正解なそれは、基本ぼっちが染みついたソニアには些か酷なものであった。あるのか分からぬ正解を求めるうちに自身の価値について疑問を覚え始めたソニアだったが、この流れ、この道は幾度となく通ってきた道であり、ソニア自身も実に手慣れたもので、目を背けながら歩くことが正解ではないが、正しいということが脳味噌にも体にも染みついていた。目を背ける。この行為には代用がいる。背ける対象が必要なのだ。それがこの愚かな考えなしの吸血鬼の場合、連載だったのだ。いくつかのプロット的なものはあった。だが、それは到底使い物になるほど、洗練されてはおらず、チグハグでナントナクがそのプロット達の全てであった。だが、目を背け、適当に脳味噌に浮かんだ形をそのまま発言する今のソニアにはその色々なプロット達がドンヨリとした色気のない生活を彩ってくれる豊かなプロット達に思えていた。


(ふふふ、あれもいいなぁ。人気が出てしまったらどうしよう!)


妄想だけが加速してゆく。一月ほど前、この吸血鬼は妥協に妥協を重ねた。良い落ちが思い浮かばず連載したことを幾度となく後悔し、挙句の果てに「ぷよぷよみたいに全消ししたらボーナスあるのでは~」と白目をむいた状態で死んだように呟いた、あの日すらからも目を背けていた。すぐ近くにあるそれは、ドンヨリとした臭気を放ち、ゾクゾクと体を震わす。幾日かの月日を経て、記録は朧げになり記憶になり、良い所ばかりを写した写真のような存在に成り果てた。だが、ソニアには分かっていた。どうせ自分が困り果てるであろうことが。だが、今や、この馬鹿で愚かな吸血鬼はそれすらも欲するほど自身の価値について目を背けていた。もはや流れは止めようがなかった。


(よしよし、連載してしまおう。なーに始まってしまえばなんとかなるだろ)


無責任な発言は後の後悔を招く。だが、これはいわば出来レースのようなものであり、ソニア自身必要としているものだった。

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