最近何かと巻き込まれやすい
どうも櫻井島弥生です。ふと思いついたので夜更かししながら書きました。予定3部の短編です(1部にまとめて書けなかったのです。)良ければお読みください。登場人物の名前はまったくもって適当です。なんとなく思いついたものです、ですがそれ以外は結構考えてあります。短時間の割には。あと、最近見たいくつかの作品にかなり影響を受けていると思うので、先に申し上げときます。
小学校2年生の時にだ、未来製猫型ロボットの道具のように何か欲しい道具を考えろという授業があった、俺はそこで水素を燃料に走る車を提案した。別に天才でもなんでもない俺は、勿論深く理解していた訳では無い。ただ、幼い頃からくだらない情報だけは大量に集めていた。だから、8歳になる前の俺がロケットの燃料を把握していても何もおかしくはなかったのだ。
1年と半年ぐらいが経ってからだったと思うが、テレビで「水素で走る?!未来の車」などという特集をやっていたのを覚えている。
俺はこの時、ひたすらに嬉しかった。自分が正しかったと確信した。自分にはまだ力がないから、何も証明できやしないが、自分の考えは間違いなく人類の叡智に等しい。
だがしかし、そんななんの力もない俺が何を言ったところで、発表した時は誰も何も俺を賞賛しなかった。むしろ、訳分からんと否定された。最優秀に選ばれたのは、ジャンケンに勝てるグローブだった。先生も褒めていた。よく分からない。まぁ当時の俺もその時は別になんとも思わなかった。
テレビを見た次の日に、その時の話を俺はした。
でも・・・誰も覚えてなかった・・・
「成長した今でもだ、当然納得してない。確かに、ジャンケンに必ず勝つというのは、相手の腕や手のひらの筋肉の動きから何を出すかを判断して、それに対しての有効手を出すという高レベルなものかもしれない。だが、それがなんの役に立つ、世界平和にもつながらなければ、一個人の私利私欲にすら繋がらない。せいぜい給食の余り物を独占する程度だ。」
俺は、無気力かつ少々高圧的な口調で、友人と会話している。
「お前なぁ。まぁ、わかったわかった。でも、俺の相談話とお前のかわいそうな身の上話に、なんの関連性がある?」
会話、というのも、この谷口 彰一郎とか言うアホが相談があると言ってきたので、それに対しての俺の意見を聞かせてあげているのだ。
「正しいこと、間違えていること、あまり関係はない。よは記憶に残るかどうかだ。特に今回みたいな場合はな。お前は生徒会選挙で勝ちたいんだろ?つまり、票を得ることが重要なのであって、他のことは特にどうでもいいわけだ」
今言ったようにこのアホは何を血迷ったか生徒会選挙に出馬するそうだ。だがどうすれば受かるか全くわからん。だから教えてくれとそういう事だ。勢いだけは一流の後の祭り王者決定戦の初代王者だ。
「まぁな、確かにそうだ、どんなにいいことを言っていても、伝わらなかった、印象が薄かったんじゃあ意味が無い。まるでお前になってしまうというわけか。」
「うるさい、余計なお世話だ。まぁそうだ、だから、内容はお前が適当に考えろ、後はそれを壇上で谷口一人ライオンキングでも何でもして演説すればいい」
「あぁ、シルク・ドゥ・ソレイユ並に印象に残してやる。じゃあ、俺に清き一票をよろしくな!!」
「いやだ」
「なんでだよ!!馬鹿にしたのは悪かったから俺に入れてくれ頼む」
「別に気にしていない。だが嫌だ。そもそも全く清くない1票だろ。俺は勝つための方法は教えた。だが一様言っておく。俺はそのやり方は好きじゃない。」
好きじゃない、だって、可哀想だろ。もし、話すのが苦手なだけで、本当に正しいことを言っている人間がいたら、そんなゴミクズみたいなやつに負けるのはかわいそうだ。だから、俺はその一人ぼっちの味方をしてやりたい、的な思考だ。そう伝えると、谷口は(つまりほかの人間の演説を聞いて考えるから、誰に表を投じるかはまだ分からないってことだな。分かったよ)と、俺の心のうちを完全に理解して教室を出ていった。
あいつもまぁ、頭はいいからな。それにもう1年の付き合いだ、色々と俺の事もわかるようだ。
俺、雨宮 勇輔と、谷口彰一郎が出会ったのは1年前、地元では名のしれた公立名門進学校、鳶平高校のオーブンスクールの日だ。6月開催第1回オープンスクールで、俺の中学からは誰一人として参加者が来なかった。それは俺だけではなく、谷口も一緒だったようで、他も大体そんな感じだったようだ。そんなこんなで周囲の人間も大体同じ人種だったおかげで打ち解けたのだが、谷口とは妙に馬があった。だから、こんなやつと仲良くなってしまった。
受験期はよく一緒に勉強したりした。珍しい話だろう。俺らは塾に通っていた仲間でもない。ただオープンスクールであった、他校の知らない二人が仲良くなったという気持ち悪い話だ。
「てか、ふざけんなよ。昼休み終わるじゃねぇか」
俺はそうぼやくと、少しだけ残っていた弁当の中身をに掻き込んだ。
そして、そんな日の放課後。
「嫌です」
「頼むよ。お前には期待しているんだ、あんなにクラス全員がうちとけてまとまったクラスは今までにない。そんな中でも普段から一人でいるお前にな」
そんな憎まれ口を叩いてくるのはうちの担任の物部 有魅香教師だ。
「あまり馬鹿にしないでください。それに別に友達がいないわけじゃありません。基本は単独行動が好きなだけです。ていうか、嫌です。何故僕が」
何故。僕が、何を、断っているのかお教えしよう。この教員はだな、俺を少なからず脅迫している。そして、うちのクラスの不登校生徒、柳 みとせ、に必要資料を届けにいけとそう頼んでいる。否、頼んでなどいない、表面での社交辞令に等しい。これは、「え、もう帰るの?」=「上司の、僕より早く帰ろうだなんて、偉くなったもんだねぇ。ほら、他の人を見てご覧、仕事をしているだろう、な、分かるだろう」の図式に近いだろう。脅迫なのだ。
「さっきも言っただろう、君には期待してるんだ、なぁ頼むよ」
嘘だ、ただの脅迫じゃないか。それに、あんたが働きたくないだけだ。
説明しよう。事は2ヶ月前だ、入学したての俺とそのクラスでは当然係決めなる恒例イベントが行われていた。
そして、俺は毎年恒例のこのイベントを小学校の頃から同じ形で終わらせてきている。それは図書委員になることだ。あれは素晴らしい。図書室で本を読んでいればいい、たまに来る来訪者の貸出手続きを秒で済ませて本を読む。なにか質問されれば、簡単なことなら答える。無理なら即、ほかの図書委員か司書の先生に任せる。このスタンスで極限まで働かない主義を保っている。
だから、今年も図書委員になりたかったんだ。だが、図書委員2名に対して1年2組の、希望者は5名もいた。ピンチだ、俺の平穏が犯される危険だある。そう判断した俺は少しだけ、やる気を出した。
まぁその時だ、どうしても、なりたかった俺は、ほかの候補者に色々と忠告をしてほかの仕事に変更することを促したのだ。なんせ、これがダメなら学級委員になるハメになっていたのだから仕方もない。
「成田くんはここ数日の間だけでクラスの中での交友関係がとても広くなっている。リーダーとして必要なものだろ。学級委員がいいんじゃないか?俺は、お前が学級委員をやっているクラスにいたい。少なくとも、今年1年は、そんなクラスで、高校生活を送りたい。良ければ来年もだ」と、いった調子で全員をそそのかした。
それがこの先生にはバレたらしい。俺はそれをばらされたくなければ私のために働け。そう脅されている。ちなみに、この独身教師は、今日の合コンに行きたいがために、俺に仕事を押し付けているのだ。
「では、よろしく頼んだ。私は忙しいので帰るよ。後、学校に来るように説得してくれ」
なるほど分かった。今まで唯一わからなかったことだ。何故俺に頼んだのか。勿論、私情のために仕事をしたくなかったからだ。だが、資料を届けるだけなら、別に時間はかからない。車を持っている大人ならば、むしろその程度の仕事ならと喜んで引き受けるレベルだ。何故って?だってそれを口実に帰れるだろ、居残り残業なんざしなくて済むからな。
だがだ、届ける相手は不登校、つまり、プラスアルファの仕事がくっついてくるわけだ。この、教師が本当にやりたくなかったのはそれだ。学校側としても、不登校や退学者は出したくないはずだ、だからこそ、担任は上から言われればこの仕事を断れない。そして俺にそれをよこした、と。
だが、残念だったな。俺は、負けないぞ。
「待ってくださいよ先生。面識の薄い女子高生の家に1人で押しかけるなんて出来ませんよ」
と、俺は実にわざとらしく、不安げな顔と声のトーンで言ってやった。
「そうか、わかった。」
結論を言おう。俺は負けた。というか、してやられた。あの教師の作戦には俺の発言も織り込み済みだった。あの、「そうか、わかった」には、俺の気持ちを理解したからもういいよ。なんて、意味は微塵も含まれていなかった。
例えるなら、「どうしても明日有給を取りたいんです」に対して上司が「わかった、明後日休みなさい」といったみたいなもんだ。
譲る気がないのは向こうも同じというわけか・・・
俺は、そのあと化学室に連れていかれた。そこでは放課後、化学部という変人集団(俺の偏見なんだが)が活動している。
そして、その顧問である物部先生は遠慮なく大きな音を立ててドアを開けると、奥にいたロング黒髪の清楚な少女を呼び出してこういった「頼みがある、柳の所に資料を届けて欲しいんだ。この雨宮と一緒にな」
俺は彼女を見て一目で誰かわかったさ、うちのクラスの女子の学級委員、十文字 律だ。この進学校の中でもかなり優秀である方だ。俺とは縁もなく程遠いね、アンジェリーナ・ジョリーぐらい遠いと思っていた。
そして、呆気に取られた俺は何も反論できないまま、彼女と一緒に校外の道を、柳の家に向かって歩いている。
正直いって、今俺の心の中は
くそ、腹立つなあの野郎
やばい、どうしよう。美少女と二人きりで下校しとる。あかん、死ぬか、死ぬのか?
と二極化しており学校からの下り線は大変混雑しております。まぁ俺の中がね。
「そういえば、何故、雨宮さんが届けることになったんですか」
その質問はまぁ当然だろうな、委員長の十文字はともかく、男で部外者の俺とか超関係ない。なんで呼ばれたのキモイんだけど。
やばい、意外に冷静だと思ってたら、相手を普通に見るために心の中で自分を蔑んでいる、、、
「まぁ暇そうだった俺に先生が声をかけて、流石に、男一人で向かわせるのも申し訳ないと言って、十文字さんをお呼びしたんでしょう」
「なるほど、というか、かしこまらないでください。普通に話してください、クラスメイトなんですから」
そう言われても故意的にはやってないんだよなぁ。
まぁ、そう言われれば、割り切るのは早い俺だ。
「わかった。十文字、だから俺の事も雨宮でいい。よろしく頼む。」
「はい、雨宮さん、わかしました。あ、すみません、癖なんです。許してくださいね。」
えぇ、まぁいいや、図々しいきもい死ねって言われなかっただけマシだ。
5分後
す、凄い、この子なに!!やばい、すごい笑顔で俺と会話してる。なに、俺の話楽しい?いや、俺もこんなに会話が楽しいのは久しぶりだ。やばい、なんかさっきから天使みたいに見えるんだけどどうしよう。さっきのアンジェ発言撤回して天使にしとこう。
「そういえば私、この学校に入学してからずっと気になっていることがあるんです。何故、鳶平高校と言うんでしょう?」
鳶平、面白い名前である。この街は港町であるにもかかわらず、平均的には標高が高い。よって、ほかの場所よりも空が近く、鳶が多い。そして、そんな街であるにもかかわらず、平とついている理由。
「鳶はわかります。でも、何故平なのですか?校舎は丘の上にあります。そんなに山間でもありませんが、平地にある訳ではありません。鳶丘高校の方がしっくり来ると思うんです。」
にしても打ち解け早いな。やばいわ、うちのクラス本当にすごいな。
「簡単なことだ、昔は校舎が平地にあったんだ、この山だらけの街にも関わらず、珍しく平地にある高校。だから鳶平、だが、名前はそのまま、校舎は移動してしまった。という訳だ」
これは、明確な事実だ、名前の由来をわざわざ生徒に教えたりしない。かといって、ホームページに書いてある訳でもない。俺も入学当時に気になって、だが誰も知らなかったため腹が立って調べてやった。
「なるほどです。そういう事だったんですね。でも、すみません、もうひとついいですか雨宮さん。」
ん?
「何故、校舎は移動したのですか、建て替えならば、わざわざ移動する必要は無いはずです。それに、元あった場所から離れた岡の上に移動する必要は?公立高校が、そう移動しなくてはならない理由があったんでしょうか?」
なるほど、頭もいいならその分疑問も出てくるわけか、良かった。俺は調べた、だから分かる。考えなくても知っていることだ。
「それはだなぁ、あ、十文字は、中学はどこだ?」
「?門町中学校です。それがどうかしましたか?」
なるほどぉ、だからか。
「日本の高校は、今はどこも創立70年程度だろう。それは戦後にできたからだ。」
なんか急に上を向いて語りだした俺の話を、十文字は、はてなマークを浮かべながらも真剣に聞いている。
「そして、鳶平が移動したのは大体45年ぐらい前だ。ちなみに、俺の出身中学もその時期に校舎を移した。うちだけではなく、多くの学校が、しかも、私立公立問わずに場所を変えた。しかも皆揃って標高が高い場所に。その理由は」
「その理由は!」
まぁ落ち着きなさいそんなに目を輝かせることは無い。
「社会的背景にある。60年代から70年代、日本は高度経済成長真っ只中、今で言う発展途上国だったわけだ。あまり言いたくはないが、社会的事実として、今の中国やほかの発展途上国でも問題になっていることがある」
「は!大気汚染ですね」
「そうだ、大気汚染だけではない、海洋汚染、それに森林伐採等、公害と言うやつだ。勿論この街でもそれはあっただろう。そして、この街の学校は当時、川沿いや海沿いに面していた。当然だ、この街は山だらけだからな、谷場の地形に街を作れば、川には面するし海もある。」
なんかそんなふうに言うと四大文明みたいだ。川に面し海に面し、港町であるとか歴史の教科書に乗るレベル。まぁ事実的に江戸時代以降は頻繁に登場する日本の中でもかなり歴史的な街だ。
「だから、公害の影響を受けた。生徒達への影響が出る。戦後の日本は世界中からの視線を気にする国だ。解決策を出さないわけもない。ほかにも似たような県や市はあっただろう。その全てに校舎を移動することを言い渡し、この街も例外なくそれを実行した。だから鳶平も丘の上にある。門町はもともと高台の町だからな。移動しなかったんだろう。」
「おぉー」
うわなんだ、なんだかすごくキラキラと、輝きに満ちた目で見られてる。何だこの輝きは、太陽のような単なる光源でもなければ、オーロラ程の光と言うにはあまりにも強大な光量だ。世の中にある美しいものをどのように混ぜ合わせれば、否、どう化学変化を起こせばこの輝きを生み出せるのだろうか。
「凄いです!どこでそれを調べたんですか?」
やばい、そろそろ陰の陰である俺には眩しすぎるな。
「いや、俺も最初に気になってな。学校のホームページや図書室の本なんかを調べたんだが、理由は書いてなかったから、少し調べたんだ」
心做しか少し引き気味になってしまった。
「凄いです、私、気になって調べたんです。雨宮さんと同じく、学校の図書室やホームページ等も調べました。でも、その結論にたどり着けなかったんです。」
尊敬の眼差しのようだ。まぁでも、実際俺はそんなにすごくない。これは本当に運だろう。
「たまたまだよ」
俺も気になって調べた。だが分からなかった。でも思ったのだ。「果たして我が校だけが特別なのか」と、事実的にどの学校も山間にあるのは家の外に出れば見える。
うちの高校も偏差値が高いとか変人が多いとかを除けばあまり目立って、ほかの高校とは違う。なんてことは無い。
だから、特別だと思うのは浅ましい気がした。だから、ほかの学校も同じなのではないかと思った。するとそこから答えは近かった。まず、出身中学を調べれた。するとそこに書いてあった「公害疎開」と。
十文字は、俺より頭もいいし、まぁ何一つ俺は勝ててないけど。だからこそ、彼女がこの答えにたどり着けなかったのは、中学校が高台にあったから。その学校には、たまたま公害疎開という重要キーワードが抜け落ちていた。ならば、俺と彼女の差はひとつ。生まれた場所というどうしようもない運ゲーだ。
しかもそもそも、話を聞く限り名家じゃないか十文字家。うちは別に何も無いよ。でもまぁ、凄いと言われて悪い気分にはならないか。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。良ければ短いので最後までお付き合い下さい。




