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動く黒い物体、予想外の出来事

作者: 千代三郎丸

私は、一軒家の2階に住んでいる。


今朝は曇り空で、寒い。小腹が空いていた。タレをかけた生ハムのパンが、とても美味しく感じた。


「ギャー」と、外から悲鳴が聞こえてきた。


ベランダから外を眺めてみたが、誰もいない。ゆっくりと、部屋へ戻った。


いつもなら、聞こえてくるはずの車のエンジン音、人の声が全く無い。


〈ドスッ、ドスッ〉と、変わった振動だけが伝わってきた。もちの塊がウスに投げられる時の音にも近い。


不思議に思い、またベランダから眺めてみると、真下に黒い大きな()()が動いていた。


(クマかな?)


私は冗談半分で、まだ水が半分残っているペットボトルを投げてみた。


その黒い物体の横に落ちた。


二個の丸い玉、目だろうか。それらがぐるっと見渡して、私の方で止まった。これを目が合ったというのだろう。上下に分かれ、左右に広がった切り口がある。おそらく口だ。


巨大なクマでもない、ゾウでもない。四つ足でのっしのっしと歩く黒い怪物だ。


その右横を、親子でこっそりと逃げようとしている人の姿が見えた。


怪物は彼らに気が付いて顔を向けて、口を大きく開けた。


私は、咄嗟に、テーブルにあった『焼き肉のたれ』のビンを投げた。


地面で割れてタレが飛び散った。


そいつは、アスファルトに広がったそれを舐めては、再び、私の方を見た。舌なめずりをしている。


ゾクッとした。


1階の左端のドアが開き、祖父母が駆け出して逃げた。黒い物体が、空いたドアから無理やり中へと入っていく。


私は、あっと気が付いた。内階段が、1階から2階へつながっていた事だ。


このままだと、アイツの朝飯になってしまう。食べたばかりのハムが、あの『でかそうな胃袋』で消化されてしまう。


さて、どうしよう。



終り。

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