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【初代地球王】  作者: 池上雅
第二章 【成長篇】
74/214

*** エピローグ ***


 早朝の座禅会が終わろうとしている。


 ひかりちゃんはよく泣く子だったが、不思議なことに座禅をしているお父さんの近くにいると決して泣かない。

 いつもにこにこと笑っている。

 ひかりちゃんが夜泣きすると光輝は家でも座禅を組まされた。

 座禅が終わると急に泣きだしたりして、奈緒が慌てておむつを替えたりしていた。



 今日も奈緒はひかりちゃんを連れて、座禅をしている光輝の後ろの木立の陰にいる。

 僧侶たちからは見えないところである。

 すぐに僧侶たちが、その場所に奈緒とひかりちゃんの専用の場所を作ってくれた。

 

 小さな屋根と座り心地のいい椅子が用意されている。

 夏になると蚊帳も張られた。


 今日のひかりちゃんはお父さんの座禅が終わっても泣かなかった。

 嬉しそうに、にこにこと笑っている。


 座禅が終わると厳空や厳真や崇龍さんが光輝と奈緒とひかりちゃんのところに来た。

 やっぱり崇龍さんは子供好きだ。

 詩織ちゃんや純子さんのお腹も大きくなり始めているので、厳空や厳真も赤ちゃんには興味津々だ。



 そのとき崇龍さんがまた不思議そうに言った。


「光輝殿」


「はい」


「貴殿の後上方の御光じゃが……」


「はい」


「今度は数が減っておるぞ」


「は?」


 驚いた厳空や厳真や周りの高僧たちが光輝の後上方を見てみると、確かに中央にお釈迦様のおわすあの巨大な御光はあるものの、前からいらっしゃったあの三つの尊い御光が無い。


 みんなきょろきょろと周囲を見回した。

 まさかどこかへ遊びに行ってしまったのか……


 そのとき厳真が驚愕の叫び声を上げた。

 震える指でひかりちゃんの後上方を指差す。


 皆がその方向を見てみると……

 あの三つの尊い御光は、ひかりちゃんの後上方に移動されていたのである。

 子供好きな尊い方々なのだろうか。


 その場にいた数百人の僧侶たちが、いっせいにひかりちゃんに向かって平伏した。

 それからひかりちゃんはほとんど泣かない子になった。



(やれやれ、僕の代わりにひかりに座禅会をやってもらえるかも。

 でも乳児を取り囲んで座禅をする千人の僧侶さんの姿って、知らない人が見たら驚くよなぁ)


 光輝はそう思ったが何も言わなかった……








(初代地球王 第二章【成長篇】 了)



次回より第三章【飛躍篇】スタート……

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