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【初代地球王】  作者: 池上雅
第二章 【成長篇】
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*** 3 共同作業 ***


 ある夜、光輝と奈緒は邸の書斎で並んで座ってPCを見ていた。

 六つもある将来の子供部屋のうちの一つを光輝の書斎にしたのだ。


 光輝は奈緒と一緒に並んで、奈緒が最近見つけて時折参考にしているという「あなたのカレを悦ばせてあげる方法」というサイトを見せてもらっていたのである。


 そのサイトは、「受け入れる編」と「与える編」に分かれていた。

「受け入れる編」の初級者のところには、「キスしてもらうときには目をつむってうっとりした顔をするのよ」とか書いてある。

 

 他にも、

「服を脱ぐときには、アナタはなるべく何もしないでカレに脱がせてもらってね。特に下着は必ずカレに脱がしてもらうのよ。そうすればカレはイチコロね」 


「カレがアナタの服を脱がそうとするときには、俯いて恥ずかしそうにするの。そうするとカレは興奮してますますアナタのことが好きになるわ」

 などと書いてある。


「奈緒ちゃんは最初からこのサイト見てたの?」 


「ううん。最近見つけたんですど、私がしてたことがそのまんま書いてあったりするんでちょっと驚いてました」

 

 光輝は奈緒に頼んで全部読み上げてもらった。

 その方がなんだかエッチで楽しい。


「与える編」の初級者のところには、こんなことが書いてある。


「カレと歩くときにはなるべくアナタの方からそっと腕を組んであげてね。ウブなカレだったら、そういうのを夢見てたからとってもうれしがるわ。アナタのことが愛おしくてたまらなくなるの」 


「キスして欲しいときには、カレの方が背が高いときにはつま先立ちになるの。男の子はそういう女の子の仕草にとってもヨワイのよ」


(世の女の子たちはこういうの見て研究してるのかあ……)

 フト光輝は恐ろしく思った。


「受け入れる編」の中級者のところにはこんなことが書いてあった。


「カレがアナタの胸を触ってくれるときには、うれしそうにカレの顔を見てあげるといいわ。そうするとカレはたまらなくなるの」 


「でもカレがあなたのアソコを見たり触ったりしようとするときには、あなたは目をつむるのよ。そうした仕草が、カレのすることを許しているっていうサインなの」 


「それでカレがアナタに入って来てくれようとしたときには、決してアナタから足を開いたりしちゃダメよ。ちゃんとカレにアナタを征服する悦びを与えてあげなくっちゃ」 


(う~ん。割と当たり前のこと書いてあるような気もするけど…… 

 でも中学生とか高校生の女の子とかが、こういうの見て興奮しながら勉強してるのかなあ……)


「与える編」の中級者のところにはこんなことも書いてある。


「カレにキスしてもらってるときには、カレはアナタの口の中に舌を入れたがるでしょ。アナタもたまにはカレの口に舌を入れてあげてね。そうするとカレはあなたの情熱をわかってくれるわよ」 


「二人で歩いてるときに、カレにエッチなことをして欲しくなったら、カレと腕を組んで、カレの腕をアナタの胸に押しつけるの。そうするとカレはきっとすぐ二人っきりになろうとしてくれるわ」 


「もしカレに初めておフェラをしてあげるんだったら、目を伏せて恥ずかしそうにしてあげてね。でも何度かしてあげたら、たまにはおフェラをしながらカレの目を見てあげてご覧なさい。アナタのこと好きなの、っていう気持を込めた目でね。カレはアナタ愛おしさにたまらなくなって暴発しちゃうかも」 


「カレがあなたの中に入って来てくれたときのアナタの手の位置は、経験が浅い順に、①恥ずかしそうに顔を隠す ②シーツを握り締める ③指を軽く噛んで、恥ずかしい声が漏れないように堪える。④そっとカレの背中に手をまわす。ざっとこんなカンジね。いろいろ組み合わせて使ってごらんなさい」 


「もしカレがアナタの望みより早く達しちゃっても、不満そうにしちゃ絶対にダメよ。特にまだ経験の浅い男の子だったらそうね。アナタが与えてあげているうちにもっと強い男の子になって、必ずアナタを満足させてくれるようになるから。アナタの優しさがカレを成長させるのよ」 


「アナタがカレを受け入れているときに、普通の女の子はただ「ああ」とか喘ぐだけなの。それじゃあすぐに飽きられちゃうわね。だから、たまにはカレの名前を呼んであげたり、「好きっ」とか言ってあげてね。そうするとカレはあなたが愛おしくてたまらなくなるわ。他にも、「ああ、感じる」とか「す、すごい」とかいろいろ言って試してみるの。アナタがどういうふうに言うとカレが喜ぶかは、それを言ったあとのカレの反応でわかるわ。カレの動きが速くなったり、アナタの中でカレがもっと大きくなったりするから」 


「つまりね、自分の言いたいことだけ言ってちゃダメなの。カレが喜ぶことも言ってあげなくちゃ。エッチは二人の共同作業なの」 


「男の子が女の子にエッチなことしてくれているときに、ただなんにもしないでカレに料理されるだけで横たわっている女の子を、マグロっていうのよ。そんなことしてたらそのうちカレに飽きられちゃうわよ。特にもう結婚してたりしたら気をつけてね。「こんどはわたしが……」とか言っておフェラしてあげたりいろいろしてあげなさい。やっぱりエッチは二人の共同作業なの」 


「カレがアナタの後ろからしてくれてるときは、なるべく背中を反らしておしりを上にあげてね。そうするとカレはアナタが感じてくれてることがわかって喜ぶし、カレのそれがアナタの奥まで届いてアナタも気持ちいいはずよ」


 そんなことがいっぱい書いてある。


「奈緒ちゃんは僕が奈緒ちゃんの望みよりも早く終わっちゃって、不満だったりすることって多いの?」

 

「ううん。そんなことは全然ないわ。むしろ光輝さんが奈緒に満足してくださったって思えてうれしいわ。それに光輝さん、すぐにまたしてくださるもの」

 

(ありがとう奈緒ちゃん……)


「で、でも、もし万が一僕が早すぎて不満だったらそう言ってね」 


「そんなことこれからもずっと無いと思いますけど……」 


 上級者編にはもっと強烈なことがいっぱい書いてあった。

 奈緒ちゃんの読み上げにも少し熱がこもって来る。

 過激なのでカレが嫌がったら二度としないこと、とか注意書きもあった。


 上級者編を読み終わった後、二人はしばらく寄りそって黙っていた。

 奈緒の体がまた熱く柔らかくなって来ている。

 奈緒はまたサイトの最後の記述を読み始めた。


「あとは、このサイトの後ろの方に、「アナタとカレの相性度チェック」っていうのがあるんだけど。その中に、「アナタがカレにして欲しいと思っていること」っていうチェック項目があるの。だからそのページをプリントアウトして、そのチェック欄のうちのして欲しいことに○印をつけてね。して欲しくないことには×印よ。


 そして、さりげなくアナタの部屋のカレの目につくところに置き忘れたフリをして、お買いものにでも行きなさい。カレはきっとそれを見つけてくれて、あなたのして欲しいことをしてくれるわ。ついでにカレがアナタにしてみたいこと、っていうチェック項目もあるから、カレに記入してもらったらどうかしら。きっと二人の愛がもっと深まるわよ」 


 光輝と奈緒は目を見合わせた。


「奈緒ちゃん。これ、やってみる?」


「ううん、やらなくてもいいです」

 

「そう。奈緒ちゃんは僕にして欲しいと思ってることは無いの?」 


「あのね…… 奈緒が光輝さんにして欲しいと思っていることは、光輝さんが奈緒にしたいって思って下さってることなの……」 


 そう言うと、奈緒は甘い吐息をついてますます光輝にもたれかかってきた……




 大河くんが生まれて一カ月程経ったある日、麗子さんが光輝たちの家に遊びに来た。

 光輝は出張中だったので、家には奈緒しかいない。

 奈緒は麗子さんが大河君におっぱいをあげているのを見てきゃーきゃー言っていたが、麗子さんの顔はなぜか曇っている。


(麗子さん、どうかしたのかしら)

 奈緒は少し心配になった。


「あ、あのさ…… 奈緒ちゃん……」


「なんですか麗子さん?」 


「ち、ちょっと教えて欲しいことが……」


「なんでもどうぞ。私にわかることでしたら」 


「あの…… 光輝くんとは、まだ、その…… いっぱいしてるの?」 


「ああ、エッチのことですか。

 えー、もう以前ほどではないんですけど、それでもだいたい毎日ですね」


「ま、毎日……」 


「回数は減りましたけど、その分時間は長くなったかもしれません」 


 麗子さんはうつむいた。

 しばらく黙っていたが、そのうちなんと、麗子さんの美しい瞳から涙がこぼれ始めたではないか。


「ど、どうしたんですか麗子さん! 

 だ、大丈夫ですか! 具合でも悪いんですか!」奈緒は狼狽した。


 涙を流したまま麗子さんは奈緒を見つめた。


「うらやましいわ……」


「えっ」 


「豪一郎さんったら、大河が生まれて一カ月も経つのに私になんにもしてくれないの。

 お腹が大きくなってからもなんにもしてくれなかったから、もうかれこれ半年になるわ。でも指一本触れてくれないのよ。


 ううっ。まさか、う、浮気でもしてるのかしら…… ああああーん」

 とうとう麗子さんは顔を覆って泣きだした。


 奈緒は衝撃を受けた。

 あの尊敬する麗子さんが、あの男前な麗子さんがこんなに泣いてる……


(私にできることだったらなんでもしてあげよう)

 奈緒はそう心に誓った……







(つづく)


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