仲間、集合
典紀が仕事を終えると、見覚えのある黒いスーツの男性と黒いパンツスーツの女性が帝都医大の病院内に居る。
「達之先輩と新井先輩じゃないですか。ご無沙汰してます。」
片平君がお医者様になるなんてね。
ああ。典紀は努力家だ。
黒いパンツスーツの彼女は新井有紀、警察官であり、
階級は警部だ。
傍らに居る黒いスーツの彼は彼女の相棒の刑事で、
典紀は達之先輩と呼んでいる。
「先輩、オレ、京都から来る内科医の先生が気になってるんです。」
詳しい話、店で聴かせてくれ。
了解です。
彼らは職員通用口から迎えの車に乗り込んだ。
ワンボックスの運転手は松谷高文、饒舌な居酒屋店主で
以前の仕事は精神科医だ。
表情筋が喋ることで鍛えられると語る。
医師免許は依然ある。
彼の店はカウンセリングが受けられる。
「松谷先生として聴いて下さい。有紀のことなんですが…。」
有紀ちゃんのことか。話してみ。
彼は達之から相談を受け、考えている。
なるほどな。毒親のせいで有紀ちゃんの人生が壊されてるとお前は思うんだな。
ええ。頷く達之
質問を変えよう。有紀ちゃんの人生をことごとく壊す毒になる親って母親か? それとも父親か?
分からないんです。そこまでは俺も。
分かった。同期の高岡に伝えとく。