あらすじ
ピンク色の兎を窓ガラスにぶつけると、木の股から悪魔が生まれた。悪魔は大層な美少年で、睫毛の色が薄くていつも伏し目がちにしている。わたしはある日アダムスキー型のUFOを呼んで悪魔の美少年を無理矢理に乗せ、和歌山県沖で突き落としてみた。悪魔の美少年は涙を流しながら海ではなく空に落ちていった。わたしは彼の美しさが惜しくなり、富士山頂で噴火を待った。三億年ほど経ってうつらうつらしていると、背後のペルセウス座流星群がこんにちはを連呼し始めたので砂に埋まって盆栽を始めた。金木犀の盆栽は星を地面に落とし薔薇は咲き乱れ私の夢に届かんとする。アンタレスで起きた殺人事件でわたしは犯行の理由を問われ、タップダンスを始めたがそれは実は蛇のくねくねで、驚いたことにカササギは象だったと言うのだ。わたしは確かに爪を歌舞伎模様にしたが、幼稚園で描いたはずの父の日の絵は先生の筆によるものなのだ。わたしはからからの戦うキーマカレーだ。嘘だ嘘だ。わたしは正真正銘偽物の鶴だ。気持ち悪い色の犬だ。星は爆発したが湿度計は乾燥を示している。バレリーナの汚れた眼球はインド人が崇める。料理、掃除、洗濯。そう、料理、掃除、洗濯の順番が大切なのだ。と、そこに美少年が木の股から現れ死刑を宣告したが、地球は収縮してしまったのだった。
《了》