*私、非リア充 ー2ー
・
ーガタンッ
「わっ……!!」
その時、突然電車が急ブレーキをかけた。
その衝撃で私の体の重心は前へと移動する
「……ふぅ」
ここで『きゃっ』とか可愛らしい声を出して思わず近くの人にしがみついてしまう……なんてことは私にはなかった。
なんとか手すりにしがみついてバランスを保つ。
「もぅ……びっくりした………え」
一息ついて首を横へと移動させようとして、違和感を覚える。……肩に重力がのしかかっている。そこからじんわりと伝わってくる温もりで確信を得た。
__誰かが私にもたれかかっている!!!
・
これが変なおじさんだったらどうしよう……とりあえず顔を見なくちゃ。
そう思ってギリギリと首を横へと回転させる。そして、私は思わず息を飲んだ。
「……………っ」
まるで透けるような白い肌
スッと通った鼻筋
形の良い少し薄めの唇
そして伏せられた目をくっきりと縁取る長い睫毛。その上に
艶やかな黒髪が被さっている
「…………ゴク」
生唾を飲んで回転させた首を再び元の場所へとぐるりと戻した
……ドクン、ドクン
心拍数は今有り得ないくらいに上がっている
え、えええっ!!?何!?何なのあの綺麗なお顔は____
もしかして芸能人!?
っていうか、パッと見ただけでは女の人なのか男の人なのか
わらなかった
それくらい、その人の美貌は優れていたのだ