traintop
そう言えば、屋根の上から物音がする。
「幹、これが歯車の音だと思うか…?」
セットは聞いてくる。
それはちょっと…上から聞こえてくるのだから違うと思う。
「きっとネットさんの仕業だと思うよ!」
「ネットさんってだぁれ?」
そう言う菜穂子を完全無視して、ヘッドは開いている窓から、身を乗り出すと窓枠に足をかける。
其処から屋根まで上がるつもりなのだろうか。
「ヘッド、気をつけろよ。奴はすばしっこく逃げるからな…」
俺はそう言うと、抱いていた肩を抱え直し、幹を抱きかかえると座席の上に並んで立った。
ヘッドと目が合う。
「ヘッド、気をつけろよ。奴はすばしっこく逃げるからな…」
ヘッドは窓枠の上に手を掛けると、手と足を水平にして、列車の外へ体を晒す姿勢になる。
ヘッドはブカブカのジャケットを列車の取っ手に結びつけると俺に呼びかけてくる。
「セット、これで準備出来たよー」
「えっ!?」
幹は驚きの声を上げる。
俺は抱きかかえたままの幹にこう告げる。
「お前の怪力なら、こいつを屋根の上まで連れてけるか?」
「無理だよーセット。寒いのだからね」
幹は俺の手から逃れると、
「私、自分の目で確かめに行きます!」と、宣言した。ヘッドは窓枠の上に手を掛けると、手と足を水平にして、列車の外へ体を晒す姿勢になる。
ヘッドはブカブカのジャケットを列車の取っ手に結びつけると俺に呼びかけてくる。
「無理だよーセット。寒いのだからね」