trainend
俺は困った顔をイルカに見せまいと必死だった。
なぜなら、俺が持っていたマフラーはギャグが俺にくれた唯一の仲間の証だったからである。
「どういう事なのこれは!?」
3両だった列車が連結して4両になった気配がした。
「恐らく、風駅に到着したことによってブレスの意思が働いたのだと思う。今なら、貴方の願いが叶うかもよ?」
「…どういうことか見に行ってみよう…」
俺は気絶したネットを安全な座席に寝かすと、いつの間にか傍ら立っているコードに声をかける。
「ネットを頼む…先程、ブレスの咆哮があった。俺は行かなくてはならない…」
コードは少し涙ぐみながら、答える。
「…あの事件の二の舞にしない様にね」
私達は3両目に着くと、ギャグを見つける。
「ブレス、放送の邪魔だ!!ネットの防御でも効かなかった!!」
どうやら、ブレスの正体は光と水の粒子のようだ。まるで竜の様に列車の回りをぐるぐると旋回している。ギャグは目を瞑っても、浮かぶブレスの咆哮に相当、苦戦しているようだ。
夜が明けたようだ。
「ギャグ!!目を開けて。トンネルを抜ければ、追って来ないかもしれない!!」
「2年前を思い出すな…事件の時、こいつは産まれてなかったはずだが…」
いつの間にか後ろに立っていたセットがライターをヘッドに渡す。
ヘッドは残り少ないオイルをブレスの核に投げ入れると、叫んだ。
「目を開けて!!」
ブレスは初めて、視線を此方に移す。
「…お初にお目にかかる…私の起源は感情から生まれ出ている…空を飛ぶ鳥に憧れてここまで…やって来た…」
ブレスは1つの油膜に包まれ、たまご型に変形すると、こう言ってきた。
列車は「風駅」に到着する軋みをたてると、3両目の全体に炎が立ち上った。
私達は列車を出ると、イルカさんの姿を発見した。ギャグはあわてふためいた様子でマクロの背後に回る。そして何かに気付いた。
「イルカはずっと待っていたんだ。歩道橋に立ってこの列車が来るのを。貴方が目覚めた瞬間から」
イルカさんは列車を悲しげに見つめると、私に近づき、耳打ちをする。腕には猫耳のついた腕時計。
「貴方、このマフラー、忘れたでしょ…私、ずっと、辛かったのよ。歩道橋でひとりで」
私は気付く、この人、夢で見た人に似ている。マフラーを受け取ると、私は自分の荷物を確かめる。
あと、1つ足りない。
ギャグはマクロさんから携帯電話を受け取ると、小田急のパスワードを入力する。
開かない。
「おい!!マクロどういうことだ」
「仕方ないだろ。俺はどうせ嫌われものだ!!ブレス聞こえるか!!」
マクロは単身、ブレスに挑もうとする。
その瞬間、小田急が突っ込んでくる。
ブレスはマクロの手を取り、取り込もうとする。まるで母のようだ。
「セット、ヘッド!!小田急だよ!!これに乗れば家に帰れるよ」
セットは言う。
「でも、携帯電話は!?」
「番号なら小田急と、この列車の掛け合わせだよ」
私は少し不思議に思う。どうしてこの2人、私の事、良く知っているのだろう。
ヘッドちゃんは私を見て、軽くウィンクする。私は振り返りながら、少しだけこう思う。
この子が私のお母さんだったら良いのにな。
朝焼けが輝いて居た。皆で海を見に行こう。




