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客人  作者: 焔夢
花と神
36/36

trainend

俺は困った顔をイルカに見せまいと必死だった。

なぜなら、俺が持っていたマフラーはギャグが俺にくれた唯一の仲間の証だったからである。



「どういう事なのこれは!?」

3両だった列車が連結して4両になった気配がした。

「恐らく、風駅に到着したことによってブレスの意思が働いたのだと思う。今なら、貴方の願いが叶うかもよ?」

「…どういうことか見に行ってみよう…」



俺は気絶したネットを安全な座席に寝かすと、いつの間にか傍ら立っているコードに声をかける。

「ネットを頼む…先程、ブレスの咆哮があった。俺は行かなくてはならない…」

コードは少し涙ぐみながら、答える。

「…あの事件の二の舞にしない様にね」



私達は3両目に着くと、ギャグを見つける。

「ブレス、放送の邪魔だ!!ネットの防御でも効かなかった!!」

どうやら、ブレスの正体は光と水の粒子のようだ。まるで竜の様に列車の回りをぐるぐると旋回している。ギャグは目を瞑っても、浮かぶブレスの咆哮に相当、苦戦しているようだ。

夜が明けたようだ。

「ギャグ!!目を開けて。トンネルを抜ければ、追って来ないかもしれない!!」

「2年前を思い出すな…事件の時、こいつは産まれてなかったはずだが…」

いつの間にか後ろに立っていたセットがライターをヘッドに渡す。

ヘッドは残り少ないオイルをブレスの核に投げ入れると、叫んだ。

「目を開けて!!」

ブレスは初めて、視線を此方に移す。

「…お初にお目にかかる…私の起源は感情から生まれ出ている…空を飛ぶ鳥に憧れてここまで…やって来た…」

ブレスは1つの油膜に包まれ、たまご型に変形すると、こう言ってきた。

列車は「風駅」に到着する軋みをたてると、3両目の全体に炎が立ち上った。

私達は列車を出ると、イルカさんの姿を発見した。ギャグはあわてふためいた様子でマクロの背後に回る。そして何かに気付いた。

「イルカはずっと待っていたんだ。歩道橋に立ってこの列車が来るのを。貴方が目覚めた瞬間から」

イルカさんは列車を悲しげに見つめると、私に近づき、耳打ちをする。腕には猫耳のついた腕時計。

「貴方、このマフラー、忘れたでしょ…私、ずっと、辛かったのよ。歩道橋でひとりで」

私は気付く、この人、夢で見た人に似ている。マフラーを受け取ると、私は自分の荷物を確かめる。

あと、1つ足りない。

ギャグはマクロさんから携帯電話を受け取ると、小田急のパスワードを入力する。

開かない。

「おい!!マクロどういうことだ」

「仕方ないだろ。俺はどうせ嫌われものだ!!ブレス聞こえるか!!」

マクロは単身、ブレスに挑もうとする。

その瞬間、小田急が突っ込んでくる。

ブレスはマクロの手を取り、取り込もうとする。まるで母のようだ。

「セット、ヘッド!!小田急だよ!!これに乗れば家に帰れるよ」

セットは言う。

「でも、携帯電話は!?」

「番号なら小田急と、この列車の掛け合わせだよ」

私は少し不思議に思う。どうしてこの2人、私の事、良く知っているのだろう。

ヘッドちゃんは私を見て、軽くウィンクする。私は振り返りながら、少しだけこう思う。

この子が私のお母さんだったら良いのにな。


朝焼けが輝いて居た。皆で海を見に行こう。

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