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trainvioret
私は無くしてはならない物がヤモリの宝石がついたブローチだと分かっていた。
セットは私から目線を反らすと、何かに気がついたように呟いた。
「此れは晒すものでは無い」
「では、これはどうか?」
話しかけられたイルカの表情が固くなる。
私は小首を傾げる。手の内にある紫の切符を見つめる。
セットは運賃表を指し示すと、一番安い料金の落書きを見つめる。
私の持っている切符と料金が同額だ。
ヘッドは進み出ると、ハンカチで書き足されている金額を確かめる。
「幹?どうした?顔色が悪いよ?」
私はお母さんから貰ったブローチを握りしめて、最終駅の名前を恐る恐る聞いて見る。
「……」
ヘッドは何か囁いたようだ。
私は聞き返す。
「…ブレス駅?」
動物が映っているモニタを見つめる。
死んだ動物の居ない檻を映すだけのモニター。
そう言う奴らは自分をアピールしたいのか、何処に行きたかったであろうか。
通学鞄に入れて置いたペンケースの中に入れてあるビーズのお手製の指輪を探す。
発見すると友情の証として、ヘッドに手渡す。
「あら、素敵ね。でもね私、貴方のお母さんが持っていたブローチの方が良いと思うの」




