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trainanswer
ヘッドはセットの袖を引っ張ると、家出少女のような目でこう言った。
「両親が心配してるよ」
イルカさんのネックレスが紫色に変わっていることに私は気付く。
トカゲの引っ付いた、このネックレスのワンポイントはこの前見た姿とは違っている。
私はセットにもらった切符を握りしめると、イルカさんに向かって学生手帳をみせた。
「…そう、あなたの名前は幹というの」
「あなた、人の内情だけ探っておいて、名前知らなかったの!」
「あら、私はクラゲからイルカになれたわよ。あなたにはなれるかしら」
でも…と、私は思う。
この人はコードとネットのお陰でこの姿になれたのだろう。
二人の顔が目に浮かぶ、二人とも齢いくつなんだろう…優しい人ではないけど列車から出れないから引きこもりなのだろう。
「私は知らないよー。幹がどんな両親の元に育ったのなんて」
「ヘッドはそれでいいのよ」
ネックレスを私にくれるとイルカさんは動物園に入ってゆく。
私はそのあとを追いかける…追いかけたいけど…
その時、青い空を見上げた動物たちが咆哮をあげる。
私は驚いて思わず目をつぶる。
目をあけると一枚の切符が落ちている。
紫色だ。
「ブレス駅!?」
「悲しそうな顔をするなよ。イルカ。リング事件で居なくなったのは一般人だろう?」
「畏怖されるべしは人の子よ」




