traingraph
ギャグはいつもの定位置つまりッドの頭上に乗ると、こう言い放った。
「列車の周りに樹海が絡まってきた様だが、ネットに相談した方が良いのか?」
ヘッドが少しだけ何かに感づいたようだ。
「…少し待ってね」
「おいセット。お前何か悪巧みをしようとしてないか」
「違うよ。動物園の切符は幹が持っていないから、マクロさんに相談しようと思って」
俺はこの二人の会話に加われなくて少しムッとする。
ネットが向こう側から全速力で駆け抜けてくるのが見える。
「見てみて―やっと見つけたんだーリンク事件の真犯人の残していった名前!!」
ギャグは冗談めかして、突っ込む。
「リング事件だっつーの」
「…やめてくれよ。嫌な思い出なんだ」
二人と一匹は暫くだまりこむ。とても長い沈黙が流れる。
「菜穂子、お前、寝癖ついてるぞ」
長い髪が解けて、ずっと持っていた学生鞄もぺしゃんこだ。
「ヤモリのブローチは無事か?」
俺は笑いを堪えながら、そのブローチを取り出す。
「コードに高く売っちまおうぜ。こんなもの」
セットが遮る。
「それは駄目だ」
「これは母親にプレゼントされた大事なものだよ!!イルカさんにも誰にも渡せない」
「寝ている人を起こしておいてそれは無いぜ。ヘッド」
いつの間にかマクロが後ろに立って居る。
手には筆記用具。
「あら?私も同じもの持っているよ。何故マクロさんが持っているの?」
ネットが二人の間に割って入る。俺は驚いて飛び上がる。
「それはだな。俺が幹の父親の知り合いだからだ」
俺は更に驚く。コードもセットも知らなかった事実だ。
「それは間違いないのだな」
「本当なの!!ネットさん!!」
…まずい。俺、完全に蚊帳の外だ。列車の問題も無視されている。
「ならば、動物園の檻に入れられてるかもな」
「何を言っているの!!ヘッド!!私の親は確かにあまり子供に興味がないけど、自分の世話ぐらい出来る立派な両親よ!!」
汽笛が鳴り響く。
突然の車内アナウンスに皆、ビックリする。
「こちらコード。こちらコード。動物園の駅が破壊されたようだ。お前たち何をやっている。私のハムスターもお怒りだぞ」




