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私は後悔した。
分断された境界より先に、どうしても行けなくなっていたからだ。
あの店。
暗い店。
そこまで来て、そこから先には行けなかった。
ぽっかりと空いた穴のように。
窪んだ口が闇を飲み込んだみたいに。
私はこの店を恨んだ。
なに、この店。こんなの、店じゃないよ。
機能しない店。
暗い。
闇。
通行人が私を追い抜かした。
つまらない。
渡りたくなかった。
恐怖はまったく感じない。
ただ、渡りなくない。
今日はホワイトクリスマス。
だけれどここは、真っ暗の。
ここだけブラッククリスマス。
しけた境界線。
この店を通り過ぎれば、リンの部屋までもうすぐだ。
チキンを投げてくる。
それを今度もかわしてみせる。
でも渡りたくなった。
越えたくなかった。
断絶。
ここから先、私の国じゃありませーん。
クリスマス。
つまらなス。
なんなの。
出てって! そういうことなの?
今日はホワイトクリスマス。
今日はブラッククリスマス?