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商店街を歩く人はまばらだ。ほとんどが一人きりで歩いている。
クリスマス。この五文字が彼らを一人にしているんだ。
私を一人にしているんだ。
ブルースはあの女とどこへ行くのだろう。どこへ歩いていくのだろう。
つまらない。財布だけでなく携帯電話も、リンの部屋にある。
そして残念なことに、私はリンの家と反対のほうを向いている。
そのまま真っ直ぐ進んでいる。
振り返ろうとしない。
つまらない。
今日はホワイトクリスマス。
だけれど雪は弱まってきた。だんだん暗くなっていく。
次第に肌が寒くなってきた。
雪は弱くなっているのに。
ずっと外に出ているからか。
商店街の端にやってきた。
目の前に広がる道路は、なんだか寂しい。どうして。
どうして、こんなにもぼやけて白いのだろう。
雪はやんでいた。
だけれどホワイトクリスマス。
視界の白とともに、寒さが胸に込みあがってきた。
私は走りたかった。いつかの記憶みたいに、鬱憤もなにも発散してくれるあの走りに。
走らなかった。
そのまま真っ直ぐ歩くことにした。
車は一台も走っていなかった。だって今日はクリスマス。
みんな忙しい。幸せに忙しいクリスマス。
私はそんなに、罪深い言葉を使っただろうか。
ブルースは今頃、女の子に囲まれて楽しく騒いでいるんだろうね。
これは間違いだった。実際は、たった一人の女子と、二人きりだった。
リンがこれを知ったら、どう思うだろう。
またチキンを投げてくるだろうか。
それともわっと泣き出して、耳たぶまで真っ赤にするだろうか。
どっちもありそう。面白そう。
リンの部屋に戻ろう。