第14試合目 5
「5分以内ならキッチンスタジオを離れても?」
「トイレなど休憩が必要な時間を申告してくれれば構わない。休憩が欲しいかね?」
キッチンスタジオを一時的に出た奏は家に連絡を入れようと決めた。おじいちゃんがいるはずだからスタジオまで持ってきてもらおうと思う。ポケットからガラケーを取り出した。短縮ダイヤルで家にかける。
「もしもし?」
奏の声を聞いてすぐ、電話の主の奏のおじいちゃんの声がやわらかくなった。
「どうしたんじゃ? テレビから姿が見えんくなったと思ったら。放送見とったぞ」
あまり話が長くなるのは良いとはいえない。なので本題だけを手短に話す。
「僕が3日前に手作りした麺が冷蔵庫に残っているはずなんだ。持ってきてもらえないかな?」
少しの沈黙。まさか渋っているのだろうか。
「奏がどう対処するか興味があるから持っていかん。……といったらどうする!?」
番組で用意している市販の麺を使うにしても工夫する時間がと思うと焦りが募った。
「今回はそこを何とか。真唱じいちゃん、頼むよ」
いじめすぎたかのと愉快に笑った真唱、お願いを引き受ける。
「3日前のやつだと真空パックをしていても風味が落ちているかものう。わしが今日作っていた手作り麺を持って行ってやろうか?」
「えっ、いいの? それじゃあすぐお願いするよ」
「任せておけ。バイクで10分以内に運べるだろう」
昔、料理人だった奏の祖父、真唱が今日食べるつもりで手作り麺を作っていただなんてすごい偶然である。助かったと心配がほぼなくなった奏がキッチンスタジオに戻って丼を混ぜたり、食べる器の選別やレンゲの用意をしている間に奏の祖父到着の報が審査委員長番参の元に入った。
『出演者のご家族様が見えておりますが、生放送スタジオにご案内、お通ししても構いませんか?』
その受付からの連絡を受けた司会者が思案していると――
「どれ。わしがスタジオ入口まで受け取りに行こうか。良いじゃろう?」
「ではお願いします。テレビを御覧の皆様、食べ物に役立つ調味料の宣伝が終わるまでお待ちください」
砂糖や塩、日本伝統のしょう油などの宣伝が流れている間に
「すまんのっ、これを受け取るために」
「気にするでない。今日はついでじゃ、隣の扉から入って孫を応援席で見守ってはどうか」
「そうするか。お主ともまた話す日が近いじゃろ」
奏の祖父と番参は親しい間柄にある。その理由は奏の祖父が料理人の時、お世話になったとかそういう関係。ここで少し触れると、奏の祖父の料理で番参が料理に携わる道の模索を解決出来たというところだろうか。
番参が奏に持ち込み食材を渡して審査委員長席に座り直したところで番組再開。
「お待たせいたしました。残り時間は約10分なので頑張ってくださいね」
手作り麺とハムやレタスを食べたいだけ(今回は10枚位)フレンチドレッシングで味付けして、ポテトチップスを砕いてふりかける。奏はそれ以降、番組側で用意してある中華スープに市販のワンタンを投入して『ワンタンスープ』に。丼はすでに完成品を審査街料理テーブルに並べていた。見てきた限り、特別な何かをしている様子はなかったが果たして?
すいません。間違えて番外編を投稿したやつは消しました(汗)
8月20日




