第14試合目 4.
その中で奏が選んだのは『極め炊き』のメーカー。炊飯器のお米には4合あたり、みりん大さじ2というお米の甘さを引き立たせているやつにした。
「次の作業は白いご飯をベースにして丼に変える事です。ラーメンの具にも使えるから合いそうな長ネギと水菜を切って。タレも忘れずに」
しょう油大さじ2とごま油大さじ1でタレ完成。このタレをご飯にもかけるのがミソだ。長ネギは細切りで水菜は4センチくらい長さが良い。
「ここにもこだわろう。制限時間が長めなので手打ちで中華麺を作ろうかと」
これから奏が手作り麺を作るという事で司会者的にも興味があるが、片方にかたよるのは良くないので風良の所へ戻る。ちょうどスープを作っているらしく、鶏がらしょう油の匂いが鼻腔をくすぐってきた。
「はい! 鶏がらスープの2カップ分表示量<ご自宅の鶏がらスープの元を確認してみましょう>にしょう油と酒大さじ4で作りました。お湯の量はラーメン器で4回~5回分くらいと作れるだけ。正確にはラーメンスープではなく、つけダレですけどね」
タレを作った風良はお店で販売している4食入り生麺を茹で出した。茹で上がった麺を冷水で洗ってから盛りつけて完成である。少しばかり時間が余っているので冷蔵庫にしまっておく。
「土鍋のご飯もいい感じになってきました。最強火で秒単位ゆっくり数えるとおこげが作れたりもしますよ」
最高のご飯を出来あがるまで蒸らし10分は必要だ。風良はこのご飯が出来あがる直前をウキウキしながら待つのが好きらしく、それのみに意識を集中し始めた。
「彼に他の料理を作る予定があるか聞きたかったのですが、反応が返ってきませんね。ではまた奏さんの方へ行きますか」
奏が粉から麺を作る工程を真剣にこなしていた。ボウルや手につかなくなるまで丸いかたまりになるようこねる、ナイロン袋に粉のかたまりを入れて新聞の上から踏む。これを5分×4回繰り返した。奏が粉を踏んでいるのをイメージするならそば職人などが踏むことで麺にコシを――と説明しているところだろうか。
「本来なら常温でこれを3~4時間放置。その後に麺棒で伸ばした生地を切るとしたい訳だけど相当な時間オーバーになっちゃうしな……」
奏は残り制限時間を確認して約25分の今、考える。せっかく手作り麺にしたのに諦めたくないと。すぐ使うと多分まだ麺がパサパサしてしまっていそう。却下。市販麺でというのは最後の手段にしたい。そういえばこのケーブルテレビ局は地元じゃないかと思い至る。
「持ち込み食材OKでしたよね。取りに帰るのは有りですか?」
その意見はすぐ番参審査委員長に否定された。
「対戦中にそれは認められない」
これなら? と、代替案を思いついた奏が確認する。
「観戦者の有音に取りに行ってもらうのは?」
「10分以上席を離れられるのは厳しいな」
あれもダメ、これもダメと案を却下される奏だったが、もしかしてこれならと返答を求めた。




