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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
得意分野で勝負編
77/204

第13試合目 5

「ちょっとの火傷程度なら冷やさなきゃ」

 香理は高美のおかげで落ち着きを取り戻し、的確な行動を取れた。導いてくれた彼女はお姉ちゃん? あるいは? 見学側の出演者や観客達も家族の中で子どもを導く者の面影を感じ取る。

「ありがとうございました。おヵじゃなくて、高美さん!」

 手を冷やしている間、手を支えてぬくもりをくれていた事と司会の命が持ってきた火傷に効くアロエの塗り薬を代わりにつけてくれた事に母性を感じて若い人をそう呼ぶところだった。多分気付かれてないよねと香理は心持ち大きな声でお礼を述べた。


「香理さん、もう大丈夫ですね? 残り10分ありますから着実に失敗ないよう」

 司会者にも休憩をはさんでくれた事に頭を下げた香理は完成間近のツナと水菜のスパゲティに梅肉としょう油にこしょう適量で味付けして、今度はミスしないように気をつけながら沸騰したお湯にコンソメと塩こしょうで味付けした『もやしの洋風スープ』を用意する。


 彼女らが料理に適したお椀やお皿などによそっている間に制限時間をむかえた。

「料理をしている者なら起こし得るミスも有りましたが、全体的には気になる料理が作られていましたね」

 料理には小さなハプニングなんて結構ある。今回の小さな出来事は香理にとって触れてもらわないのはありがたい。小さなミスは自分の中だけで繰り返さないようにしようと思っていればいいのだから。

「今回は皆様の見ての通り、高見さんの料理から審査員の方々の席に置いて頂いていますね」

 番組スタッフと一緒に高美も審査委員長の席へ今日の試合の品を置く。香理は審査を待っている間に使う保温機能付きの審査待ち料理テーブルに置いた。


「確か前に肉じゃがに近い料理を作ってもらった事があったの。だが、好きな料理に近いものを作ってもらいアレンジ料理を見せてもらうのは初めてか?」

 見た目は定番料理に近いが、と番参がちょっとした不満気な表情を浮かべているように取れた。でもその表情はすぐに、それなら味などに注目すれば良いかとばかりにメインおかずへの興味を強めているような表情に変わる。審査員長がまずメインおかずの野菜と肉を咀嚼して吟味している=食事開始。

「ほほうっ。この豚肉は薄切りかな。味付け調味料の味を中心に感じさせたいといったところか?」

 豚薄切り肉の濃い味を舌で転がして味わった番参が、見た目も美しい三色みそ汁を飲んで簡単味付けのタレを使った甘辛いサブ料理(厚揚げ料理)もかみしめた。それから面白そうに唇の端を上げて審査分は食べ終わったと箸を置く。


 会話を続けてきて、奏は清と一緒に審査するのは相談するでもないのに相性面なのかやりやすかったりする。後味が残るメインおかずについて奏から口にした。

「これはご飯が食べたくなるなあ。豚薄切り肉と野菜によるメインおかずの味わいが舌に残りやすい」

「へ~っ、どれを食べても食が進みやすくしたのかな」

 大きな口を開けてかきこむ奏の姿や、それとすべての品をいつの間にか食べ終わって少し一休みといった感じの清を見て、高美は丁寧に気持ちを込めた料理を出来たはずと一定以上の納得いった感を覚える。



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