第13試合目 4
料理を始めた2人を応援席で見つめていた出演者達、その中でも今回のテーマ『アレンジ料理』に最も反応したのは真奈と有音だ。
「私は高美さんを集中的に見ておくわ。有音ちゃんは香理ちゃんを見学してみたらどうかしら」
「一応両者見ますけど言われた通り、そうしたいと思います」
先に今は高美の料理をしている姿を目に焼き付けておこうと決めた真奈。早速高美が工夫している点に気付いた。
「豚肉に下味ね。お酒としょう油にこしょう。一般的な味付けか。それとかたくり粉。でもそのベースに何かを入れたのが気になるところね。あの味付けに使うものをカギと考えてみましょ」
真奈がもう少し高美の作っている料理は何かなと見学していると、ピーマンとたけのこの細切りを炒めているのがわかった。でも肉が肉なので、あの料理を作るつもりなのかどうか。
「どうやら高美さんが作っているのは代表的な中華料理の一つでしょうか? サブおかずと汁物をどうするか見させてもらいますね」
今回、司会の一部仕事を奪われた感のある命がいつもと少しでも違うアプローチで職務を全うしている。
有音は有音で香理が作ろうとしているものから刺激を受けようとしている。豆腐の切り方だけでは料理の予想は難しい、にらは置いといてねぎを小口切りでひき肉を炒めている所から辛い豆腐料理の定番かとは思ったのだが違いそう――?
「豆板醤とか甜麺醤を使ってないみたい。やっぱり味付けもアレンジの要だと思っているのかな~」
高美と香理両名が作っているメインおかずにアレンジがほどこされている。作っている側の2人とも観客の反応から狙いは上々だと思っていた。
「この料理に合うのはこれかしら?」
「メインおかずと一緒に食べたいのは何だろ?」
高美が他に『厚揚げとキャベツ・しめじを使ったサブおかず』と『レタスとミニトマト・豆腐を使った汁物』を、香理は『ツナと水菜に麺類がサブおかず』に『もやしメインの汁物』らしく段取り良くすすめていっている。
「まずは高美さんからお話を聞かせてもらおうかと思います」
高美が厚揚げの油をキッチンペーパーで吸い取って、その間に焼肉のタレを手元に持ってこようとしている。その最中にマイクを向けると、彼女から「サブおかずは簡単に手早く作れるものを」と控えめな笑顔で言われた。汁物も出来そうという訳で司会者は香理の方を気にしてそちらへ行こうと歩を進める。
「熱っっつうい」
司会者が香理の元へ向かおうとした時、香理がどうやら鍋の熱い部分に手の平が触れてしまったらしい。手にちょっとした火傷も出来てしまってパニックになりかける。
「香理ちゃん、落ち着いて。こういう時はまずどうするの?」
司会者がアクシデントに対処するため、番組の一時休憩を宣言する前に高美が動いていた。それも香理の事をなだめながら自分で応急処置するように促していた。




