第12試合目 4
先に審査員方に食べてもらった事で結果に変化が出てしまう危険性はある。しかしそれは裏を返せば対戦相手の料理が霞むくらいのインパクトがあればその時点で勝負ありなのも事実。込流にはそれくらい勝利への飢えがあった。
「一皮むけて料理の腕前がかなりのものになっている君は強敵だよ。でも今回はワシが勝つ!」
番組スタッフと一緒に作った料理を審査員席まで持っていった込流が戻ってきた後に宣言して持ち場に戻った。有音も有音で自分のベストは尽くしたんだ、と満足そうな表情を浮かべている。そのまま彼女は『審査待ち料理テーブル』の所で込流の料理を観察する事にした。
「食べて頂いて問題無いですよ。さて、どんな評価が下されるでしょう。気になりますね」
ほんの少しだけでも魅せた盛りつけ方、審査員達がうなりをあげる。
「今回は野菜メインに肉や魚も献立に使われているようだの。さて、食べ方も意識してみるか」
ごはんやおかずの前にスープへ手をつける番参審査委員長。おかずとかも良い味だったがと前置きした上でスープに注目して言及を始めた。
「むむっ、スープのダシにもなり得ているなこの具は! サバとネギを焼いた旨味がある」
審査委員長がメインおかずについて話さなかったので清と高美がメインおかずについて触れる。
「大根とあぶらげをポン酢じょう油でね。うん、美味しいよ」
「このおかずは和風ドレッシングと三杯酢で食べても美味しいのね。個人的には焼き鳥と和風ドレッシング味が合うと感じたわ」
自信のある料理だけあって、審査員達が予定より多く料理を口に運んでしまっている状況をみて成功を確信した。
ある程度の量を食べてしまったものの、まだ有音の料理を審査する余裕はある。なので有音が作ったものに箸をつけた。
「わしからだな。この大きないり玉子は食べやすく箸で切ってキャベツに巻いて食べてみよう。んん~~っ!! バターの味を強くしているからか、バターの味が長めに舌に残るのう。バターの後味は好きだからいいが」
有音の作ったメインおかずのサラダ、バターの香りはほのかだったりする。だが、口の中に入れると――? それを清や高美が少し話題にした。
「キャベツの温か炒り玉子サラダなこの卵料理は味わっている時こそ風味が強くなるね」
「ボイル焼きしたウインナーとサラダにスープ。朝食にピッタリかも!? 味は……どの味も邪魔しあわないで良いわ。まっ、例えばバターとウインナーは相性良いから当然だといえなくもないけど」
やはり今回のメインおかずの肝となっているのはバターである。有音としては今まで食べてきたものの中で、また食べたいと思うバター風味のおかずに合うものをサブおかずに持ってきたつもりだ。口の中に広がった風味を遮断しないのが狙いな汁物はあっさり味にしているなど随所に工夫が見て取れた。




