第12試合目 3
緑色部分の少ない大根を選んで、皮をむいて手早く千切り(約4分の1個または5cmくらい)。塩少々を千切りした大根に揉み込む。その後で水けを絞った。貝割れ菜も準備しておく。てきぱき動いているのを見ている観客は目が離せない。
込流のメインおかずがほぼ完成しそうな時、有音の方から食欲のそそる香りが漂ってきたので司会者は彼女の元へ自然と行きたくなった。
「この鼻孔をくすぐる何だかツバが出てきそうな匂いはバターでしょうか? 美味しそうですよ」
有音が塩少々で味付けした卵をバター大さじ1程度溶かしたフライパンの中に入れていり卵を作っている。
「そろそろ出来あがります。メインのおかずはこれで準備完璧だし、サブおかずにウインナー辺りを使って~、汁物も手を加える必要があるかそのままにするか決めるため確認しよっと」
再び込流の方を確認すると、食べやすい大きさに切ったあぶらげと大根、貝割れ菜をプラスしてその食材をボウルに入れている。机の上に置いてポン酢しょう油であえていた。しかし、あえている小さめのボウルが別に2つある。これが意味するものは何だろうか?
「ワシもメインはこれで良い。さて、汁物とちょっとしたおかずの事でも考えるタイ」
そう決めた込流が鶏胸肉の皮と身を分け、食べやすい大きさに切ってから串に刺して即席焼き鳥を作りあげる。タレはしょう油大さじ5・砂糖大さじ3・酒とみりん大さじ1ずつ。「タレを作る順番は砂糖から」だと込流が司会者のマイクに向かって言った。
汁物は自分で作るのも自由という事でささっとお湯を沸騰。
サバとネギを焼いたスープを作り出した。
「サバはそぎ切りで4等分して塩小さじ6分の1くらいか。ネギを焼きやすい大きさに切っておかないとな」
スープを作るに当たって最初の重要ポイントを込流が口に出す。グリルでサバとネギを焼いている間にスープの味付け。酒大さじ2としょうゆ小さじ1、酢小さじ1、しょうが汁小さじ半分、塩小さじ4分の1、赤唐辛子半分で味を調えた。
込流が余っている食材で手際の良さを発揮してサブおかずとスープを作っているので司会者は賞賛したいくらいだとついつい見守ってしまっていた。
「彼もさすがですね。一通り作り終えたようですし有音さんが何をしているのか見に行きましょうか」
有音は小鍋に少なめの水を入れてウインナーをボイル焼きし終えていた。そういう作り方をしていたのにも当然理由がある。
「汁物はお吸い物の汁を別鍋にもらおうかな。時間短縮にもなるし」
やる事を明確にした彼女は、番組側が用意しているスープ類のお吸い物の汁にしいたけ3枚をいちょう切り、シメジを小房に分けてせりを切って汁物の中に入れていく。お吸い物をスープに変化させたものにすだちを浮かべるのも忘れずに。
このタイミングは制限時間を迎えた。
「最近の出場者は慣れがあるのか時間配分がうまいですね。どちらからでも構いませんよ、審査席へ持っていった人が先の審査で」
込流が有音の様子をうかがっていた。その理由は彼女が先攻後攻の見極めが上手だからである。ただ、有音がどちらを選んでも今回はいつもにも増して自信ありなので受け入れるつもりだった。
「込流さん、お先に審査して頂いてはいかがですか?」




