第12試合目 2
番組出演予定者全員の疲労度が影響してしまうのか誰もが見極めようとしている。ライバルの状態などから己の最善を探り合っているのかもしれない。
「秋は学校などでイベントが多かったりしますよね。皆さん疲れを隠しきれていないご様子。ただ調理場などでもおいしい食事を出せば人気の場所があったりします、こうした状況に慣れる一つのチャンスと思っては?」
美味しい料理をいつも出せるような料理人として料理の現場に投入された場合はずっと料理を作り続けなければという事もあり得る・忙しくても料理が好きだから疲労も吹き飛ぶ――そうした心の持ちようを見せる出演者は出るだろうか、注目したい。
「話をしている最中にボタンを押していたので対戦カードは決まっているようですね。ご覧ください」
出演者が電光掲示板に表示された名前を確認する。今回は『有音』と『込流』の2人が出番のようだ。とうとう料理を作る側で連続試合出場者が。込流にとって勝負所だろう。6戦目と同対決カードなので込流は油断しないよう緊張感を保つ事にした。有音も有音で対抗意識を燃やしてもらっている事をありがたく思いつつも、チャレンジ精神を忘れず気合を入れなおしてスタジオの調理台につく。
「どうやら今回の対決はあまりもので料理という事になったみたいですね。使う食材は自由! どんな料理を作ってもらえるか楽しみにしていますね。制限時間は余裕が残りそうな20分」
脂が多いものも結構あるが味のしっかりしている肉類(加工肉のぞく)や、淡白だったり身が引き締まっていたりする魚類はそこまで余らない。それは傷みやすいからだろう。仮に肉類または魚類が余っていたらよく火を通してからが安全性が増すが果たして? 現試合のキッチンスタジオは『余りもの(残りもの)対決』というだけあってキャベツが4分の1個とか真空チルド室に入っている油揚げが2枚とかとても生活感が演出されていた。
番組制作のために色々と凝っているなと思った両者。同じ方向を向いて目が合ったので微笑みあう。
「この余っている食材で何を作ろうかな~。しかし、量が足りるかなとかも自分で判断する形なんてとは思いましたよ」
有音に話しかけられた込流も意表をつかれたのは事実だねといった感じに応じた。
「でもいろんな食材から選べる感じだね。そうだのっ、あれとこれとそれを用いるとしようかのう」
どうやら彼の方が先に使う食材を選択し始めたようだ。
「改めて開始宣言をシます! 試合スタート」
スタートと聞いて作り出した2人。司会の命が注目したのは有音の方から。
「メインおかずはキャベツ数枚と卵を使います。それに貝割れ菜があるとより良いですね」
キャベツを洗って電子レンジ用の袋に入れて約1分半加熱、その間に貝割れ菜の根元を切り落として野菜の下味を用意(塩少々・酢小さじ1)しておく。料理初心者の頃と違って軽快に作っている姿が目についた。
「うん、いい感じに焼けたタイ。命どん、見に来てはどうだろう」
込流の言った通り、あぶらげがこんがりと焼きあがっていた。表面の油を吸い取るのにキッチンペーパーを使用する。熱が取れた所で縦半分、細切りと一気に終わらせた。
「次は野菜などこれとかが良いと思います」




