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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
6/204

主人公達 清さんの発想に感嘆する

 調料学園料理研究部の先輩達と、奏でと有音が帰路につこうとしていた。偶然電車の帰りルートも同じ方向だったので奏達が、それでも一応『学園最寄り駅』解散にしますか? などと話していると―――――

「君達、ちょっと待ってくれないか? 僕から君達にささやかなプレゼントがしたいんだけど」


 小走りで声をかけてきたのは、審査を務めていた日中元清さんだった。どうしたら良いか困って奏は先輩方を見る。

「彼が何かごちそうしてくれるわよ、いってらっしゃい」

「うん。清さんから料理の話をいろいろと聞くといいよ」

 かなで有音ありねは、先輩達に促されたので清の誘いに乗った。奏が、清と先輩達が目で合図しあっているような雰囲気を出しているので一連のやり取りは決まっていたのかもしれないと思う。


「君達のような有望な10代の子が現れて嬉しいよ。そんな君達を祝いたいんだけどいいかい?」

 さわやかな笑みを浮かべる清。申し出は嬉しいのだが、やっぱりそこまでしてもらうのは悪いと奏と有音は遠慮してしまっていた。

「せっかくですけどそこまでしてもらう訳には」

 つい断ってしまうだろうと想定していたようで、清がそれならと言い直した。

「安心して欲しい。今からお祝いで作ってあげるお菓子はネット動画とかでも有名だから」


 清のかっこいい表情に有音が2つ返事でOKしてしまった。奏の意見も聞かずに。

「はい! ぜひとも拝見させて下さい。どんなお祝いがもらえるか楽しみです」

 清が経営しているというレストランに案内された。そんなに敷居が高そうでもなく、ファミリーレストランに近い感じがする。誰もスタッフがいないことを不思議に感じたが、「本日定休日」のプレートを見たので納得した。


「『ホットケーキのちょい足し』面白い発想だったよ。そんな君達に子どもの頃から憧れていたであろうとホットケーキを作ってあげる」

 フライパンをガスコンロに置いて、ボウルを用意しながら片手で器用に卵を割り入れて泡立て器を用意する。牛乳150グラムにホットケーキ200グラムを投入、清の流れるような手さばきに奏達はホレボレしてしまう。

「ここまではホットケーキを作っているのと何ら変わらないな」

 しかし、ここからが違う。清がまず珍しいオレンジマーマレードを大さじ3を生地に入れて、また粉っぽさを減らすと、生地にしっかり練りこませるように混ぜた。


 ぬれぶきんを用意がてら、フライパンを弱めの中火にかけて1分程熱してぬれぶきんの上において30秒ほど置いて冷ます。フライパンをごく弱火で生地を一度に流し入れた。中心まで火を通せるようにふたをして、じっくり20分程焼く。

「へ~、フライパンに一気に生地を」

 奏も珍しそうにはしていたが、食いつきは有音の方が強かった。


「この待っている時間で出来上がりを楽しみにしてみたり、他に簡単な出来る事をやったりというのも可能だね」

 約20分経って、普通のホットケーキのようにプツプツと穴があいてきたら、フライ返しを側面に一周させて持ち上げ、清が焼き加減を確認している。

「仮に焼き時間が足りなさそうならもう数分待つといいよ。今はちょうど良かったけど」

 裏面は6分前後でちょうど良い焼き加減になるようである。


祖熱が取れたところで大皿に入れ替えて、清はここまでで奏達の感想を聞く。

「確かにお腹いっぱい食べたいって思った時期がありました」

「絵本に出てくるかのようなお菓子みたいですね」

 奏達の素直な感想に清は自然と顔をほころばせていた。良い気持ちを感じたままその「ビッグホットケーキ」を清が6等分して3人なので2つずつお皿に入れていく。先程までの大会参加者の奏と有音は大会中のホットケーキを味見しただけで、食べた訳ではないので清に小腹がすいている現在に思いがけないおもてなしをしてもらった。甘い香りが鼻孔をくすぐるそれでお腹だけでなく心さえ満たされる思いを味わえた。




 審査員の一人、清さんに歓迎の意を込めてそういう事をしてもらった奏達。


彼らにも美味しい思い(?)させてあげないとね。


来週はこの本編ではなく、番外編を新規掲載予定

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