第10試合目 5
確認を怠った自分を香理は許せない。それでもこれは反省しなきゃと気持ちの切り替えは早かった。そんな彼女に番参審査委員長がミスした際の心構えを教えた。
「同じミスをしなければ良いのだよっ? 今までの君達全員が嬉しい誤算で高得点だっただけで、プロの我々に平均7点は十二分に合格点なのだから。料理は問題なく食べる事は出来たものの、やはり傷んだ野菜と知っていると……」
今までの試合を観ている人ほど不思議に思うのも無理はない。結果的に勝利決定な真奈も審査員達の得点に少しうなだれる。
どことなく反省しているような様子の香理と真奈の2人を横目に『勝因』について語ってもらえますか? と命がマイクを向けた。
「良かった点はもやし中心に野菜と加工肉を食べれるサラダな事。ゴマも理由ですが、ヘルシーサラダとしてウケそう。もやしを使った汁物との相性も良いわね」
番組側で用意してあるご飯と汁物と一緒に『もやしのレンジサラダ』を食べる、その量はあまりお腹が空いていない時だったり小食な人にちょうど良いかもしれなかった。おかずの量が足りなかったら惣菜などを活用するのもありだし。
より良い料理を作るため、審査委員長が勝者の真奈にも一言告げておく。
「今回総合点が微妙に下がってしまったのは今までよりはありきたりで無難な出来になってしまったからといえそうだな。これからの出演予定者も定番は大切なのはもちろんだが少し
でも度肝を抜かせたいという料理の創作を期待させてもらおうか」
今回は観客だった出演可能性有りだったみんなにも視線を向けて番参審査委員長が奮起を求めた。審査委員長の言葉を受けて一層の努力が必要そうだと誰もが思う。
自分のミスを後悔しているかのように少し体を震わせている香理。そんな彼女の背中を真奈が優しくさすってあげていた。定番の料理を一定のレベルで作れるのは当然だ、そうした理由もあってか審査員や番組スタッフ達も策を講じて来ているのだろう。何をされても動じず、どんな方法で裏をかかれかけようと最良の料理を作れるように全員気を引き締め直した。
「決して今回の試合で作って頂いた料理レシピのレベルが低いという訳ではないのです。基本に忠実なだけでは……これからに期待しましょう」
最後にも司会の命から得点基準が厳しいと感じたのなら、新たな料理の味追求に食卓でなかなか見かけなさそうな料理レシピを作るのがベストだろうと伝える。
「食材を準備してもらっていたから甘えてしまっていたのかもしれない。同じミスをもうしないんだから」
傷みかけの野菜を使ってしまった香理が番組終了直前にこれを糧にするよう今一度宣言した。
「こういう話で終わってしまったのですから次回の人達からそれを活かすようになるでしょう。また来週楽しいお料理タイムを」
月のはじめに一時的にストックがほぼなくなるので来週間に合うかな~
間に合わなかったら番外編掲載で(そろそろこういうあとがき書くのやめようかな。書いていても仕方ないし……)




