第10試合の前に―― みんなで作ろう 7
キノコ(主にしめじなど)を高美が炒め出した。キノコに火を通したら次はポテチの番だ(ポテチの味は一般的なうす塩味か、コンソメ味あたりが良いと思われる)とはいってもやる事は袋の上から強く叩いたりもんだりするだけ。高美の表情が微妙にスッキリした気がするのは見間違いだろうか。最後にキノコの上にポテチをふりかける、それで味付けに少しずつポン酢をかけながら試食していけばこれくらいの量でという自分好みの味を見つける事が可能かと思われる。
とてもなごやかに出演者同士の交流が深まりつつある。観客達にも番組の計らいで駄菓子セットが配られた。ケーブルテレビ局で約30人の観客に配ると支出は約1万になるから大きな出費だ。しかしケーブルテレビ番組内では冠番組に食い込んでいたりするのでスタッフ達には支出の覚悟はあった。
でも結果的には審査委員長の番参が支払おうと申し出てきたので好意に甘える。支出として大きいのだけは事実だから。番組で観客達にお菓子のプレゼントをした裏話はここまでにして作り終えた彼らが何をしているか見ていこう。
「さて、どこからでも誰でも見渡せるか感じの大きな丸テーブルを用意しようか」
審査員席から降りてきた清が番組の裏方の人に声をかけて率先して丸テーブルを数名で運び出そうとする。それに気付いた奏や風良が手伝いを申し出たが拒否された。
「僕達も手を貸しましょうか?」
「それには及ばないよ。こっちはこっちで好きに手伝っているだけだし」
そう言われてしまっては手伝うのもヤボってものである。スタジオの中央付近に巨大丸テーブルを数人がかりで運んだスタッフ達が最終調整し始めた。そこも助力予定の清だったが丁重にお礼されて「後はお任せ下さい」と手を握られる。
「お役御免になってしまったようだ。次は何をしようか」
ちょうど手が空いた様子の清に、有音がちょい足し勝負後に作ってもらったやつを今作ってくれないかと頼む。奏とのちょい足し対決後に食べさせてもらった『絵本に出てきそうな巨大ホットケーキ』今ここにいる全員にその説明をして興味を持った段階で有音は奏と一緒にお願いした。
「昼食として食べる人達もいると噂のホットケーキ。でもお菓子《間食》として食べる人多数だと思うんです。作ってもらえませんか?」
「僕からもお願いします。作っていだだけるならこのテーブルの華の一つになるでしょうから」
出演者全員がお菓子レシピを作っていた事もあって実はなにか腕を奮いたかった清。タイミング良く張り切って作れるレシピだという事で嬉しそうに快諾する。
「うん、わかったよ。早速作るとしようかな」
ホットケーキの生地を作り出した清の元に番参が行った。何か用事でもあるのかなと清は思ったが、審査委員長の彼も太刀魚のような白身魚とせんべいを用意しておもむろに料理を作り始めた。
「お菓子パーティ準備が完了しつつあるけど、彼らも作りたいって気持ちが昂ぶっていたんだなあ」
奏が誰にも聞こえないような小声でつぶやいた。実際問題彼のつぶやきは的を得ている。




