主人公達 ちょい足し勝負 2
そんな紹介のされ方をしたら、奏と有音に観客の視線が集まるのは道理である。2人とも好奇の視線にさらされてしまい落ち着けない。
「さて、私の紹介した2人が実力の片鱗を見せてくれることを期待しよう。では本日のちょい足しはホットケーキである」
 
いざ、勝負開始と宣言されて、先に動いたのは奏である。ちなみにちょい足し勝負の開始時間は昼の2時、それから45分以内に終わらせるルールだそうだ。
 
奏は料理(に関係のある作業)のことになれば、周囲の状況なんて気にしないタイプである。早速ホットケーキを作るのにホットケーキミックス・卵・牛乳を用意した上で計量カップで量って生地を作り始めていた。その奏に比べて有音の方は周囲の状況は気になってしまうタイプだ。何とか生地を用意出来たのだが、その後にすることが一時的に頭から抜けてしまっていた。
 
料理スタジアムの机の上にも、小型冷蔵庫に至るまでいろんな食材が用意されている。奏がその中から人参でもミキサーに入れて生地に混ぜようかな~とか考えを巡らせていた。有音は混乱して何も出来ない状況に陥ってしまい、このままでは勝負にならないと危ぶまれていたが――
 
「有音さん、しっかりしなさい! あなたは奏君に自分の料理の腕が上がっていると認めさせたいのでしょう!!」
次にすべきことを観客達(今回は真奈部長)が声をかける。これ以上の介入は、ルール違反の反則で試合不成立になってしまうのでこれがギリギリラインかもしれない。真奈部長の声で有音は落ち着きを取り戻せた。
 
有音が奏の方を見ると、奏が何やら白い食材をさいの目切りにして生地に混ぜていた。切り方と柔らかさであの食材かなと検討がつく。
 
勝負するものなら誰だとしても対抗意識のある彼がそういう食材で来るのならと、有音は小型冷蔵庫の中にある発酵食品に目をつける。彼女はとりあえず「ヨーグルト」はホットケーキ、またはパンケーキの上にかけることがあるなと候補から外す。少し冒険かもしれないと思いつつも、辛さのある食材を容れ物からまな板に移して食べやすい大きさに切って混ぜた。
 
彼女にとって緊張から陥った状態がそんなに長く続かなくて助かった(約10分間)制限時間内に焼きあげられたのである。泡立て器で生地を混ぜる・フライ返しでポツポツと火が通った温度で生地をひっくり返すタイミングも成功したのだ。有音は奏での方が上手くやっているんだろうな~と考えながらも、やり応えを味わっていた。
 
奏と有音、2人の勝負はどうやら有音の作った方から審査するようだ。
「どうやら食べごたえのある食材を入れたようだけど何だろう? お好み焼きとは少し違うか!?」
「そうね。お昼ご飯とかに食べても良さそうって感じになっているわ。ちょっと辛さ?」
清・高美の両審査員が評価・得点にとりかかった。
「ふむっ、わかったぞ。これは食べやすい大きさにキムチを切って入れたと見た。清君が言いたかったであろうことを代弁するなら韓国のチヂミに近いだろうな」
 
続いて奏の作ったちょい足しホットケーキを審査する番である。見た目としてもあまり変わっている印象がないので審査の人達は食べるまで普通のホットケーキじゃないかと少し疑いうろたえる気持ちがあった。
「うん、なめらかになってる! 生クリームじゃないよね?」
「本当ね。まるで豆乳ケーキみたいな味わいだわ」
2人の審査員の作業は食べたら得点・評価するというのが普通になりつつある。
「ふむっ、これを入れた方がお菓子の時間にぴったりな気がするぞ。これは絹豆腐を入れたのだな」
 
審査委員長、番参が合図すると前の大会と同じように味の総合評価と独創性を出し始める。
 
 
少し文字数が少ないかもしれませんが、焦らすところかなと思いまして。でも前にも書いたかな? キリの良い場面で止めるとは。
人によって感じ方は違うかと思いますが、納得できる展開にしようと考え中。
理解しやすい様に持って行きたいな。
また来週^^




