第8試合 風良VS高美 5
「審査前にシメをどうぞ」
風良が炊きあがった菜めし(大根の葉を刻んだもの、しょうがのみじん切り大さじ1くらいといり白ゴマ大さじ2を混ぜあわせたご飯)を審査員達の机の方へ配る。高美の料理についてメモを取っている審査員達を確認してからシメの配膳を終わらせた。
「そうそう、そのまま召しあがってもらうのも良いのですが、今回は大根のスープに入れちゃって下さい」
風良の望みを聞き届けた審査員達が『スープごはん』にしていく。お茶漬けのようになった。2人の料理を食べ終わった後、審査員達が約5分くらいまったりしている。その間は司会者の命が『料理の豆知識』コーナーで審査員達がボタンを押す時間を決めるまで時間を使っているのだった。
電光掲示板の審査採点ボタンに手を置く番参審査委員長、ボタンの位置は変わっていないが押し間違いをしないように位置確認し直す清、まだ審査員経験が浅くてドキドキしてしまっている奏が審査開始。
大根ラーメン (風良 59点)
清 味総合 10 独創性 10
奏 味総合 10 独創性 10
番参 味総合 9 独創性 10
29 + 30
そぼろのしょう油焼きそば (高美 53点)
清 味総合 9 独創性 10
奏 味総合 10 独創性 9
番参 味総合 10 独創性 9
29 + 28
なかなかハイレベルの試合だったと評価されたようだ。今回は料理以外の要素も審査に影響しているだろうか、それはこれから審査員達が明らかにするであろう。
「わざわざ勝因と敗因を教える必要があるの!? 特に敗因なんて聞かされても役に立たないと思うけど!」
結構大きな声で今までの審査方法に有音が物申す。ただ奏にだけは彼女の様子が今までと違うということが分かり気になった。
「何度か続けていて疑問を感じる事があったって不思議はない。敗因を聞かされても損はないと思うがのおっ、自分の料理を見つめ直す事が出来る」
番参審査委員長もさるもの、今更……という質問に対しても威厳のある返答だ。
「私としてはわかりきった勝因や敗因を聞くの苦行なんですよね。風良先輩の工夫量とか判断しても――早い話が時間の無……」
今の有音が語り出している話はいつもの向上心旺盛な姿勢とかけ離れているようにみえる。その様子を見かねた奏が声を荒げた。
「有音!!!!!!!!!!」
会場内に響き渡る声。まるでそれがきっかけになったかのごとく、有音の瞳が虚ろな感じから光を取り戻したようになる。
「あっ、あれ? 私……とんでもない事を言ってしまったような?? ごっ、ごめんなさいとしか言えません」
会場の観客達や出演者から奇異な者を見る視線にさらされてしまっている有音は小さく小さく縮こまった。
「今回の審査結果による伝聞事項の話なのだが、勝因について話してからで問題ないかのう」
有音に関しては一旦保留する形にして、番参審査委員長がいつもの進行具合に戻す。
「皆さん反論なんてなさそうですし、それでは審査の準備次第で開始して頂ければと思います」
一応出演者に確認して全員から肯定の首振りなどをもらったと確認する。司会の命が審査員席を見上げて3人の審査員達にも同意してもらった。
「いろんな事が起こりましたけどまず勝った人には審査員の方達の意見を総合した勝因を伝えさせてもらいますよ」
まず勝ち名乗りを受けた風良の麺料理の独創性などに清から賞賛がなされる。
「生ラーメンは結構いろんな具材を入れたりするけど結局はマンネリ化したりするんですよね。だけどこんなラーメンは思いつかなかった! スープも再利用出来そうなものが多くて二重丸。シメで頂いた菜めしとスープの相性も抜群だったしね」
そこまで高い評価をされるとは思っていなかった風良であるが、この評価は素直に嬉しい。体調のすぐれなかった香理にもほとんど食べてもらえたというのも好印象。




