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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
33/204

第8試合 風良VS高美 3

 ラーメンを食べる器に入れる例として鶏がらやダシなどで肝となるスープは失敗できないぞと風良は慎重を期したい思いを覚える。その彼の作るスープは和を強調したダシに料理の隠し味に万能な昆布茶を使用するものだ。

「なかなか本格的な感じですが、そのスープの味は秘密でしょうか?」

 スープが良い味になっているなと風良は味見をした後で司会者の質問に応じる。

「そんな隠す程のものじゃないですし、答えますよ。鶏がら粉末メインに和風だしの素と昆布茶大さじ1ってところですね」


もちろんその間に高美もほとんどの料理作業を終わらせていた。電子レンジで麺を10秒くらい温めてからほぐし始めればほぐしやすいという知恵をスムーズに行い、にらは長めの5センチ幅に切り、もやしもすぐ使える準備をしている。

「炒めている時に合わせ調味料をすぐに使いたいから準備しておきましょ」

 その麺類や具材にからみ合わせるのはしょう油と料理酒大さじ2でオイスターソースとウスターソースを大さじ1というもの。これには豆板醤小さじ1程の辛さが合う。


フライパンにサラダ油を少し熱し、にんにくやしょうがは風味付け程度に。ひき肉をしっかり炒めるところまでを見るとそこまでの工程なら『タンタン麺』のようでもある。だがそこから先を工夫している点が高美の口から強調された。

「ひき肉の上に合わせ調味料。タレを煮立たせてから麺を入れるというのが大事なことなのよね」


 両者ともに10分以内に大部分の料理手順を終わらせていた。後の仕上げに観客達の注目が集まる。まずはこれだけだとパンチが足りないからどうしたものかと考えている様子の風良がちょっとにやけた。

「有音ちゃん、風良君を見ていてご覧なさい。ああして少し口の端をゆがめると材料に工夫が深まるんだから」

 大根で葉っぱを使わない人も結構いるだろうけどそんなのもったいないとばかりに刻んだ葉を皿の上に乗せて塩もみ、白いりゴマの用意。中華麺を茹でてスープを注いでいく風良の姿に有音が出来上がりかけのラーメンに期待を寄せる。

「ふむふむ。あの葉も多めに入れると彩りが良い気がする」


対する高美はタレのからまりがしっかりしている麺が入ったフライパンを隣のコンロによけて、切ったニラともやしを別の小さめのフライパンで炒め出す。火が通ってきた頃に塩こしょうで味付けを。


 風良と高美ともそろそろ完成だという時、体調不良で席を外していた香理がスタジオに戻ってきた。誰からともなく観客達から温かい拍手や気遣いの言葉をもらったりしていた。

「顔色も見た目良くなっているようだし、どうかね? 審査は私達に任せてもらうが、審査員席の横で一緒に食欲があるのなら食事を口にしてみては」

「お誘いありがとうございます。じゃっ、甘えさせてもらっちゃいますね」


 最後にする事が残っていたくらいの風良、そして高美。風良はラーメンに大根の葉を散らしていって完成。高美はタレの入った麺の中に野菜類を混ぜ合わせて完成に持っていったようである。そして、この瞬間に風良は高美から審査を先にしてもらって良いと余裕なのかまたはラーメンがノビないようにという心遣いなのかをもらった。それならと彼は高美に一礼して審査をお願いするため番組スタッフに審査員席まで運んでもらう。

「では審査を開始しようか。少し香る風味で食べる前から食べたいと思わされてしまったな」

 舌で味わう前からそう思わせる魅力、なかなか出せるものではない。今やっているテレビ番組のお陰で出演者達のレベルが向上しているならこれからもそのような気持ちを抱ける、番参審査委員長はそれに心躍った。




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