第7試合 奏VS真奈 2
「僕も僕で後はこうするだけだったりするけどね」
ひき肉を1度ナベの片側に寄せて、もやしを強火でさっと炒めている時に寄せていた豚ひき肉をもやしの上にのせていく。もやしに火が通ったと思った時点でよくからませて完成に持っていった。みそベースなので口の中がさっぱりしそうなすまし汁を用意しておいた。
「両者とも自信を持って軽く作り終えたように見えましたが。どうでしたか? 同じ部活仲間の有音さん」
マイクを向けられた有音が、思っただけで口に出す気がなかった事まで話す気ないのに語ってしまい、自分の支離滅裂な言動に動揺する。
「私の中では真奈部長の株が一緒に特訓していただいている関係で急上昇な訳ですし、だからこそ先輩が勝つに決まって……あわわ違う違う、昔から(それこそ幼稚園児くらいの頃だったかも)料理している奏に敵うなんて! でも私の方が!?」
付き合いの長い奏、それに改めて料理の基礎から学ばせてくれている真奈先輩。そんな2人より自分が上だなんて口を滑らせかけた有音は困惑していた。
「えっと……有音さんは意見がまとまっていないみたいなので風良さん、お願いします」
有音のどこかおかしな言動、司会者の命がそんな取り方をしてくれたみたいである。風良も有音の様子を観察して何か手助けしてあげれればと思い、代役を買って出る。
「そうですね、部長の板野の作った方は最終的に涼しくする工夫を感じますよ。奏君のはとにかく美味しいものを食べさせたいという気持ちが」
風良の話によって、真奈と奏の先輩後輩対決になった今の試合に改めて注目が広がった気がして司会者の思惑通りな感じなので気分が良くなった。
「実に楽しみですよ、同じ学校で切磋琢磨している注目の2人による対決は」
真奈も奏も手軽に作れる料理がテーマだったので会場の盛り上がり的には何とも言えない。とにかく審査は3人の審査員がしてくれるのだから『審査待ち料理テーブル』に品物を置いて意見を聞くのを待つだけだと2人ともドキドキものである。
「作り終えました。後は冷えた牛乳に小さじ1の鶏ガラと白ごまを入れた冷製ミルクスープも」
今回は真奈と奏両名ともに番組スタッフに作りたての料理を審査員席と審査待ち料理テーブルまで運んでもらった。
「どれっ、スタッフが右手側に置いた皿は真奈君のキャベツと豚ひき肉の炒めもののようだね。そちらから"いただきます"という事で」
箸をマナー良く使って食事作法に則った審査委員長の食事風景、こういうテレビを観ている人の中にもマナーにうるさい人がいると思われるが番参審査委員長の食事マナーなら文句のつけようのなさそうな所作になっているであろう。
「辛さが先行してくるが、キャベツを食べるとある程度中和される感覚が良い! キャベツに唐辛子がついていた場合はその限りではないかもしれんがひき肉の方へ寄せたりすればいいだけだしのう」
続けて審査員の清と高美からの審査も始まった。
「個人的にはこの味わいはキャベツだからこそな気がするよ。チョイスが絶妙だね」
「にんにくやしょうがもどこか感じ取れていいわ」
真奈の料理採点が完了したみたいなので、奏が審査員3人の席のところまで番組スタッフを手伝って料理を盛った皿を審査員席に置く。




