表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
25/204

第6試合 有音VS込流 2

「次はおなべを使っていかないとね、込流さんも使う調理道具が同じかー」

なべに大さじ2程サラダ油を熱するのは同じで、材料を炒め合わせるという工程で同じ部分はある。有音は相手の手さばきなどが気になってしまうものの自分の作業に集中しないとって考えで迷いを振り切った。

「私のやつの作り方はまずは玉ねぎ、切った豚バラ肉・にんじん・じゃがいもの順に入れていくっと~」


 玉ねぎ独特の臭いが出てきて透明になるまで火を通す、頃合いを見計らって食べやすく切った豚バラ肉を投入。玉ねぎに火が通りすぎないように混ぜて肉を下に入れた。有音はそこまでタイミング良く終わらせる。

「油が回って肉と野菜がつややかになって来た! ここで味付けしなきゃ」

 煮たった所で火を弱めて有音がアクをすくい取っていく。えぐみで味が落ちる事を理解しているからこそ当然の動きのようになっていた。味付けにだし2カップ、酒・砂糖・みりん各大さじ1ずつ、醤油大さじ2くらい。有音は味見して最終的に味を整えた。


 込流の料理段階はどうだろうか。

「香味野菜と味付けを早めにするのが今日の料理の命。上手く混ぜあわせんといかんタイ」

 どうやら込流の料理の要は初期段階のうちからのようだ。

「いかがでしょう、込流さん。自信の程は」

 有音が作っている最中は集中のあまり、司会者が話しかけても気づいていなかったのが真相である。みことは司会者としての職務は果たそうとはしていた、込流の方はしっかりと質問に応じる。


「もちろんあるタイ。1つ1つの材料にしっかりと味を染み込ませられれば」

 込流は司会に応対しつつも、味付けは体が覚えているようでしょうがと合いびき肉に火を通した後に酒大さじ2+砂糖としょう油大さじ2と1/2を加えて混ぜ合わせていた。そして一番大切なじゃがいもにそぼろっぽくなった豚ひき肉を絡ませていく。


「後はアクを軽くすくい取って、約15分程落としブタをして煮こむだけタイ。食べる直前に片栗粉少量でとろみをつけるのもいいのう」

 うかうかしていられないと込流は考えている。料理の腕前ならまだ結構な開きがある、でも料理に手を少しでも抜くのは……あっという間の成長で迫ってきそうな勢いを有音から感じていた。込流の考えている最高の形は『野菜の声』が聞こえるというものだ。そんな位置にはまだまだ遠いが……


「そろそろ良いかな。確認してみよっ」

 煮込んでからある程度の時間が経過しているので有音は菜箸を差して野菜にしっかり火が通っているか調べてみて、もう少しやわらかい方が食べやすいかなと思った。結局はキリがよくて覚えやすい後5分くらい煮込めばいいかに落ちつく。


 有音と込流の手が止まって満足しているかのような表情を浮かべ出している気がした司会者命みことが審査員達に審査を開始してもらおうかと促した。

「どうやらお2人とも料理が完成しそうですよね!? まだだとしたらお知らせ下さい」

 2人が何も言わない時点で審査の進行をする司会者。番組スタッフが運ぶつもりで待機していたが対決している人達が持って行きたいと言えば断る事はない。有音・込流ともに審査待ち料理テーブルに運ぶ。


「本日は審査待ち料理テーブルの手前に置いた有音君の料理から頂こう」

 『豚肉とじゃがいもの炒め煮』を番参審査委員長が咀嚼そしゃくして吟味している。

「う~む、何だろうか。このホクホクしたじゃがいもや他の材料を味わっている時に感じるどこか素朴な感覚は」

 その審査委員長とはどこか違う評価を清と高美両審査員がした。

「煮崩れを起こしていないし、それぞれの材料も食べやすいね」

「少し煮崩れている方がしっかり味を感じるかもしれないわ」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ