第4試合 真奈VS高美 1
前の試合、奏と込流の作った料理。視聴者の誰かがme movieで奏の勝利に対する賛否両論があったらしいのはまた別のお話。動画共有サイトで動画作成した人はその時の審査員評価は妥当だと思ったのだが。自分でも作ってみたから動画作成者なりの感想も出せるのである。
今年はどうも雨が降りそうで降らない年のようだ。アジサイが見ているものの目を楽しませてくれている時期でもある。
「今月の料理スペシャル、SP料理学園(仮タイトル)が開始されました。いつもの司会は私、四界命です。よろしくお願いします」
何度目かの収録なので対戦する可能性がある8人全員初回と比べて慣れてきている。収録スタジオに整列して誰が選ばれるかというのを見守っていた。
「皆さんのご協力に感謝します。それでは料理勝負をして頂くお二人を決めましょうか」
電光板のボタンを押す司会者。もう一度押す事で電光板の動きが弱まっていき、対戦相手が決定しかけそうになっていった。電光板に映しだされたのはメイン食材が豆腐料理 楽、勝負カードは真奈と高美に決まる。大抵の事は決まったので審査員席に向かう番参と清。そういえばと思い出した事を奏が清の元に確認しに行く。
「やあ。覚えていたみたいだね。高美さんが試合をする時は君が審査員として選ばれている話を」
親しげに接してくる清のおかげで、奏は初経験の審査員というものに対して緊張感が減少したのは事実だ。
「ありがとうございます。可能なだけ審査員らしく振舞おうと思いますので」
審査員席の前で清と番参審査委員長に、審査についての説明を奏は受けていた。
「そういえばメイン食材の豆腐は良いんだけど、後ろに付いている"楽"って漢字の意味は?」
奏の疑問に、司会の四界命が待っていたよとばかりに口角を上げる。
「ただ豆腐料理っていわれても多すぎですよね。その"楽"って漢字がついた食材を使用して20分以内に調理を完了していただかないといけないというマークだと覚えておいて下さい」
試合観戦最前席に着席する、対戦に選ばれなかった5人。キッチンスタジオに入る真奈と、高美も準備をするためにスタジオに入ると思われたのだが予想に反して高美が審査員席に何故かやって来た。
「今回の料理に使う豆腐についてなのですが」
どうやら高美はこういう場合は? という例を聞いているようだった。
「10分後に試合を始めてしまうと、豆腐の下ごしらえしか出来なくて火を通せない? どうしてもその料理を作りたいのかね」
番参審査委員長が高美にうかがいを立てると、辛口評価になってしまってでもこれを作りたいというのは譲れないという信念を聞かされた。曲がりなりにも審査している人の料理なんだから厳しくしか出来ないという審査委員長の意見に高美は割り切り、黙ってうなずく。
「それだけ期待感を高めたからには……あい、わかった」
番参が収録時間の変更あるいは延長を申請した。四界もこの番組が好調だからか、すでにプロデューサーからそういう話があったら快く承諾するよう言伝をもらっていたようである。
少し時間が空いたので真奈は調料学園の部活仲間3人を呼んでどんな食材を使えば簡単に料理を作れるかの意見をもらっていた。
「それで豆腐に合う食材ってなにかしら?」
たまにだけ風良にある禁断(?)症状、豆腐料理の定番の1つであるマーボー丼を想像して意識をそれのみに集中させてしまっている。
「あの辛さ。そしてマーボーの材料がご飯にからまって口の中で一体化した瞬間、食べたくなってきたなー」
この状態になってしまった風良は相手にしなければそのうち終わっている。そういう事なので、真奈がまるで学校の先生の様な問いかけで奏に尋ねた。
「それじゃ奏くん。何か1つ言ってもらえる?」
「ひき肉でしょう」
返事の代わりに奏に微笑み、有音の方に視線を向ける。
「他にはネギ! ですね」
「2人とも、参考意見をありがとう。今日作る料理は決まったわ」




